平成22年6月県議会定例会一般質問新田耕造オフィシャルウェブサイト
平成22年6月県議会定例会一般質問(質問日:平成22年7月5日)通算12回目
総理の交代がありました。菅総理になりました。自民党より速いペースです。鳩山さんにはもう少し頑張ってほしかった、と自民党からこれほど惜しまれたひとはいません。残念であります。しかし、民主党の伝統である言葉の軽さ、ブレ、無責任、選挙至上主義は変わらないようです。最近の消費税をめぐる菅総理の発言は税率アップが前提のようで、明らかな公約違反であります。バラマキ財源のための増税には断固反対いたします。また「所得により消費税を還付する」などというのは実効性を疑いたくなる「選挙用発言」であります。総理大臣の言葉に一般国民がその常識を疑うようでは世も末です。鳩山さんの普天間発言と同じです。
さて、思い出話です。昭和46年、私は二十一歳、まだ沖縄はまだ米国の施政下であったころ、ロサンゼルスの家庭にホームステイをいたしました。
その時在日米軍の存在が話題になり、当時学生であった私は「自分の国は自分で守る、だから米軍は日本から撤退すべきだ」と言ったことを思い出します。古今東西、独立国に外国の軍隊が駐留することは属国でないかぎりおかしな話です。それは今でも変わらない気持ちであります。
この家のご主人は駐留軍として日本に滞在したことがありました。「その時手に入れたんだ」といって誇らしげに日本軍の小銃を見せてくれました。私はこの銃とその持ち主の辿った運命を想像したとき、何か言いようのない悔しさというか悲しさがこみ上げてきたのを今でも忘れません。一種のナショナリズ的感情か、日本人としての誇りの問題かも知れません。終戦から26年目のことでした。まだまだ戦争の痕跡があった時代でした。
昨年11月議会で申し上げましたが鳩山さんは近衛文麿にそっくりです。出自は摂政関白を出す五摂家筆頭、近衛家の当主、東大哲学科、京大法学部を出て、若くして貴族院議員、時に「英米本位の平和主義を排す」という論文を書き、革新的で、大衆人気がありました。一方シナ事変時には総理として高圧的で「国民政府を相手せず」と宣言して講和を閉ざしたり、大政翼賛会設立に動くも最後は投げ出すなど、不思議なヒトでした。こういう人が現れる世相は危険です。実際、その後の日本は、軍部の台頭、戦争、敗戦への道を歩みました。
今回の普天間問題は日本人の複雑な感情を乗り越えたギリギリの妥協の産物をぶち壊したということで鳩山前総理の罪は重いと思います。
政治は結果であり、その時々の内外の情勢により手段や方法など対処の仕方は千差万別です。その選択を時々の政権は国民から委ねられ、結果責任を問われます。これまでの政府・自民党は再軍備に伴う財政負担上の問題や近隣諸国の反発などを考慮し、米軍との共同を前面に出しながら漸進的に軍備の拡充を図ってきました。
国の安全保障に関する鳩山さんの食言はこれだけで解散総選挙をして国民に信を問う問題のように思えます。政権交代は事態を混乱させただけで何も前に進んでいません。
そして同じように選挙第一主義でかき回されたのが年金問題であります。
先ずわが国の年金の現状を述べますと加入者は約7千万人(国民の二分の一)、公的年金の受給者は約3600万人(国民の4分の一)、年金総支給額は約49兆円、平成21年度の税収は38兆円でしたからいかに巨額かつ膨大な人数か解り頂けると思います。また、年金給付は高齢者世帯の収入の七割を占め、年金受給世帯の6割が年金のみで暮らしております。今や公的年金が高齢者の生活を支えている現状がお解り頂けると思います。制度の改変は大きな影響があり、間違うと暴動でも起こりかねない問題です。
民主党は政権を取る前は普天間と同じように年金問題を煽りました。
今、年金問題はどうなっているのでしょうか?
長妻さんは最近どうされているのでしょうか?
年金の問題は大きく別ければ二つです。一つは消えた年金といわれるもの、もう一つは年金の制度設計の問題です。消えた年金に関して思い出して頂きたいのは政治家で年金の記録隠しに加担したものは誰一人いないということです。なのに自民党は責任を問われました。消えた年金問題は虚偽の届けをした事業主の責任、年金を払わなかった本人の責任、その場限りの安易な仕事をした行政や社会保険庁の責任にあります。「端末操作は平均5000タッチ、最高10000タッチまで、50分働くと15分休む、作業時間は平均200分、最高300分まで」というまことに非効率な社会保険庁と自治労の協定の存在など過去の複合要因を引きずった問題です。
年金受給には国民年金で25年、厚生年金で20年という永い年月をかけた年金の支払いという事実の積み重ねが必要であり、宙に浮いたり、消えた年金問題は一件一件照らし合わせるしか公平・公正の原則からして妙案はありません。年金給付の運用基準を緩和はしても「正直者が馬鹿を見るような救済」はしてはならないと思います。
一方、年金の制度設計問題は財源の問題であり、極端に言えば財源さえあればどんな制度もできる問題です。与野党で給付水準を決め財源を決めればよい簡単な話です。ただし、この簡単なことが党利党略で今まで決まらなかったのです。
あたかも政権交代ですぐに解決する妙案があるかのような幻想を振りまき人々を惑わしたというのは、普天間問題と同じであります。
さて、中讃免許センター設置について、社民党、梶議員の質問にもあったようにわれわれの中讃地区の住民はつよく運転免許センターの設置を望んでおります。警察署の統合でのデメリットを受け入れる住民に対する行政の効率化の成果を住民に還元することであります。これは党派をこえて住民の声に応える問題であります。
この件ではわが自民党がローカルマニフェストに入れた案件にかかわらず今回、社民党の代表質問に入れて頂いたことに感謝いたします。地域のことで協力できることは住民目線に立って党派を超えて協力したいと考えております。お互い次期知事に強く要望し実現に向け努力しましょう。
最後に「デンノッホ」というドイツ語があります。日本語に訳すると「それにかかわらず」という意味です。マックスウエバーは政治家の資質について、自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中がどんなに愚かで卑俗であっても断じてくじけない人間、どんな事態になっても「デンノッホ(それにかかわらず」」と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への「ベルーフ(天職)」を持っているといっています。
いま、我々政治家を取り巻く環境は必ずしも良いものではありません。しかし、たとえ報われなくても誰が何と言おうとも県民のためにと信ずる所を実現することが求められているのだと思います。歴史の傍観者ではなく歴史を作るのが政治家であると思います。
質問の第1点目は、国の経済危機対策に伴う基金の有効活用についてであります。
一昨年秋のいわゆるリーマンショックに端を発した景気後退に伴い、大きく悪化した国内の経済・雇用情勢への緊急対応のため、時の政権、我が自由民主党の麻生内閣においては、「景気対策3段ロケット」と称し、平成20年度の2度にわたる補正予算と、翌21年度の当初予算を合わせて、総額75兆円事業規模の経済対策を矢継ぎ早に打ち出しました。さらに、21年度に入ると、「景気の底割れリスク」という「短期的な危機」と、「世界経済の大調整」という「構造的な危機」の「2つの危機」を克服するため、実質GDP成長率の2%程度の押し上げと、1年間で40~50万人程度の雇用創出が期待される、事業費56.8兆円程度の補正予算を編成しました。
これに呼応し、本県でも、21年2月の臨時議会において、総額134億円余の補正予算を、さらに、21年6月議会では、過去最大となる総額452億円余の補正予算を計上しました。大規模な需要の創出を図ることで、県内の景気や雇用の下支えを行いながら、地震や高潮などに備えた自然災害対策や、子育て・教育環境の整備、あるいは新型インフルエンザ対策など、県民の安全・安心の確保に取り組むとともに、道路や港湾など生活・産業関連基盤の整備などを進めてきたところであります。
また、今回の経済危機対策の一部は、雇用、医療、介護、福祉等といった、大きな課題を抱えた分野に対し、基金への積立てという手法により、数年間の限定ではありますが、継続して対策を講じることができるスキームとなっております。本県においても、緊急雇用創出基金や地域医療再生臨時特例基金など、既設の1基金を含む15基金で、併せて 300億円を超える額の積立てを行ったところであります。
今後も県税収入の大幅な減少が見込まれるなど、厳しい財政環境が待ち受けておりますが、この先、数年間については、基金の取り崩しにより、一定の歳出規模が確保できるわけであります。まさに麻生内閣が残した財産であり、是非とも有効活用すべきだと考えます。
そこで、これら15基金の21年度末の合計残高と、22年度の基金事業費はどうなっているのか。さらに、これらの基金をどういうふうに使うことによって、有効活用を図ろうとしているのか、知事に質問いたします。
質問の第2点目は、森林整備への機械化導入等についてであります。
私は材木屋の息子であります。小さいころ県木材協会会長をしていた父から国産材で需要を賄える日が来ると聞かされていました。戦後65年そろそろそういう時期ではないかと思うのであります。
県内の森林では、ここ数年、昭和40年代に、松くい虫被害の跡地を中心に植林をしたヒノキが、木造住宅の柱材や構造材に利用できる太さに育ってきたことから、これまで、間伐を行っても、利用価値が少ないため、山に残したままにしていた県産ヒノキを、今後は、山から搬出して、市場等で、販売し、木造住宅等に利用していこうという機運が、少しづつ盛り上がってきているようであります。
昨年、さぬき市大川町(まち)で、高性能林業機械を使った、40年生(せい)ヒノキの搬出間伐の様子を、環境建設委員会において、視察したと聞いております。参加委員からは、伐採したヒノキをつかんで、急斜面から搬出する「グラップル付きバックホウ」や、切り出した木材を搬送する「フォワーダ」を使った搬出の様子を見ると、人力による作業と比べて、数段も効率が良く、また、安全に作業を行うことが可能であることを実感したとお聞きしました。
本県の森林所有者は、1ヘクタール未満の零細な森林所有者が、約3万9千人で、森林所有者の70%以上を占めており、所有形態が零細でかつ小規模で分散しているため、伐採後の搬出効率が悪く、林道や作業道を整備して、高性能林業機械を導入し、搬出効率を上げ、搬出コストを削減し、さらには、労働生産性の向上を図ることが、解決しなければならない課題であると思います。
これまで、平成20年度に、「森林組合連合会」が国の補助を受けて、高性能林業機械を導入したのを皮切りに、現地視察をした東部森林組合、さらには西部森林組合でも、順次、県が支援して機械の導入を行い、現在、県下で5台の機械が活躍していると聞いております。しかしながら、四国の他県の状況を見ますと、平成20年の林野庁のデータでは、徳島県95台、愛媛県99台、高知県239台と、本県はあまりにも寂しい現状になっています。
県は、これらの高性能林業機械の購入費用の2分の1を、「森林整備担い手対策基金」から助成してきていますが、常勤の作業員が少なく、経営基盤が脆弱な森林組合は、なかなか機械の購入に踏み切れず、結果として、搬出間伐が、効率良く進まないという状況になってしまいます。
森林・山村対策に活用するため、平成5年に普通地方交付税5億円で積立てを行った県の「森林整備担い手対策基金」は、現在でも、その残高が4億円余あり、仮に、1千万円の林業機械の2分の1を助成するとすれば、80台も導入可能な基金残高があることになります。超低金利時代に、単に基金の利息だけで、組合支援を行っていくのではなく、搬出間伐を進め、香川の森林整備を加速化するためにも、「森林整備担い手対策基金」を思い切って取り崩し、積極的な組合支援を行っていくことが重要であると思います。また、財政基盤の脆弱な森林組合では、機械の購入はできなくても、リース契約であれば、積極的に導入を検討していきたいという組合もあると聞いています。
そこで、知事は、今後、県下の森林組合の高性能林業機械の導入に、どのように積極的に取り組もうとしているか、質問いたします。
また、高性能林業機械を使っての山作業は、急斜面などの現場状況によって、その対応が様々であり、豊富な操作経験が必要となります。操作に熟練しないまま無理をして稼動させると、かえって効率が悪くなるばかりでなく、大規模な労働災害にもつながりかねません。
このため、森林組合の作業員らが、安全に効率的に高性能林業機械を操作するためには、まずは、機械に習熟することが重要であると考えます。各森林組合でも、機械導入の際には、一定の研修を行っているとは思いますが、このような研修にも、「森林整備担い手対策基金」を積極的に活用して、支援してはどうかと思います。
そこで、県として、高性能林業機械の作業習熟のため、森林組合等に対し、どのような支援を行っていくのか、質問いたします。
質問の第3点目は、道路の振動問題についてであります。
わが県は道路舗装率が全国1位、道路密度が三大都市圏に継いで全国4位と、県民、特に自動車利用者の利便性は、格段に高くなっています。一方で、その利便性が仇となり、交通事故発生件数や交通事故での死亡者数において、全国ワースト上位の常連になっております。便利な反面で、不憫を強いられている人がたくさん存在するということです。
私の周辺でもそういう人がおり、道路の振動に悩まされています。深夜、寝ていると、振動と振動音が気になり、なかなか寝付けないことが、しばしばあるようです。実は私もかつてそういう経験があり、そういう人の気持ちがよく分かります。
振動は、環境基本法において、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、地盤沈下及び悪臭とともに、いわゆる「典型7公害」とされており、人の健康や生活環境に悪影響を与えるものであります。
また、振動の中でも、自動車が道路を通行することに伴い発生する振動は、振動規制法において「道路交通振動」と呼ばれ、規制の対象となっております。市町村長は、指定地域内の道路交通振動を測定し、それが環境省令で定める限度を超えて、道路の周辺の生活環境が著しく損なわれていると認めるときは、道路管理者に対し、道路交通振動の防止のための舗装、維持又は修繕の措置を執るべきことを要請するものとされています。
これまで、県道の管理者である県に対し、市町長から措置要請があったという話は聞いたことがありませんが、これは、あくまで、環境省令で定める要請限度を超えていないというだけのことであります。先日、広島市中心部を走る国道2号やその高架バイパスの騒音や排気ガスなどで被害を受けたとして、沿道の住民など78人が国と市を提訴した裁判でも、法律上の基準を下回っているにもかかわらず、裁判所独自の判断により、受忍限度を超えているということで、騒音被害が認められたところであります。
振動や騒音などは、それ自体が直接人体に影響を与えるものではなく、人の感覚を刺激して、不快感やうるささとして受け止められるもので、「感覚公害」に分類されます。人によって感覚が異なるため、同じ大きさの振動でも、影響を受ける人と受けない人がいます。言い換えれば、人によって受忍限度が異なるということであり、このことが対策の難しさにもつながっていると思われます。
道路の振動の原因は、いろいろあると思いますが、舗装の傷みや道路の掘り返しによる段差も原因のひとつとなっているのではないかと考えられます。
そこで、県においては、道路管理者として、県道の振動対策にどう取り組んでいるのか、質問いたします。
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