12月11日(木)第2回一般質問新田耕造オフィシャルウェブサイト
平成19年11月県議会定例会一般質問
ここ数年の政治の流れを見ておりますと、地方の実情がわからない国の「地方いじめ」としか言いようのない政策、またここ一、二ヶ月の国会の動きを見ますと、民意がついていけないような驚天動地の大連立騒動もありました。
この原因を考えると、1996年の総選挙から導入された衆議院の小選挙区制に遠因があるのではないかと思っております。
小選挙区比例代表並立制は、つまるところ政党本位の政治であります。個人個人の議員より政党本位、もっと言えば政党の党首本位の政治です。当時、政治の中央集権化、議員がサラリーマン化し小粒化すると言われました。
この制度に反対した中曽根康弘先生の当時の言葉を思い出します。「よい議員が集まってよい政党を作ることは出来るが、よい政党がよい議員を作るとは限らない。自分は政党が先か、議員が先かと問われれば、迷わず議員が先だと答える。」という言葉でした。
今の政治状況を見るにつけ、まったくこの時の示唆が当たっているように思います。
また、自分が政治の一端を担うようになり、感ずることは、与野党たがわず、民意がどうも今の政治に生かされていないのではないか?政治にきめ細かさが無くなってきたのではないかということであります。
立法府の国会議員は顔を政党や党首にだけに向け、そのあげく顔を向けられた党首は政策実現のためと称し民意とかけ離れた政権取りにはしる。
また、行政機関はサラリーマン化した政治家の間隙をぬって改革の旗印の下、政治家の言うことを聴くふりをしながら自らの勢力の温存をはかり、省益、局益、にまい進する。官僚政治の闊歩であります。その結果が、最近の防衛省の山田洋行事件ではないかと思っています。
みなさん!こういう時代だからこそ、真に国民の声、地方の声を政治に反映させられるのは、地域に密着したわれわれ県議会議員ではないでしょうか!
「地方の時代」、「地方分権」、「道州制」という声を聞きます。他県でも独自の条例づくりが行われています。われわれも県民の声を生かした県政にするため、国に頼るのでなく、独自の行動をとる時だと思います。
我々はけっして奴隷の平和にあまんずるのではなく、まずもって独立自尊の気概を示すことが求められていると思います。
私の政治に対する思いは、この辺にいたしまして、それでは質問に入らせていただきます。
質問の第1点目は、企業振興政策についてであります。
本県財政が未曾有の危機的状況のなか、県は、先日策定した「財政再建方策」の歳入確保策において、「企業誘致の推進」をうたっています。本県は、すでに東京、大阪事務所に専任職員も配置して企業誘致に取り組んでいることは承知しております。
しかし、企業誘致に積極的に取り組んでいるのは、本県だけではありません。三重県によるシャープ亀山工場の誘致などもあり、企業誘致については各県とも「しのぎ」を削り、地域間競争が激しくなっています。瀬戸大橋でつながっているものの、本州とは陸続きではなく、労働力人口、市場とも小さい香川では、この地域間競争に打ち勝つのは、至難の技であります。
少し古いですが、内閣府の高橋進政策統括官が2年前に発表したレポート「地域の経済 2005」の中で、「工場誘致は、なおも有効か」というテーマを分析しています、「工場誘致は、野球で言えば、外国人選手を4番に据えるようなものである。上手く地域に根付けば、またとない力になるが、撤退してしまえば元も子もない。自地域に根ざした産業がリーディング産業になることが重要である。」と、地元企業の大切さを指摘しています。これは当たり前の話であります。
私も、このレポートに全く同感であります。すでに本県に立地している企業に、企業活動がしやすい環境を行政の面から提供しサポートするとともに、何か障害があれば共に解決する姿勢で接する、これが行政の役割ではございませんでしょうか。
県も、立地企業へのサポート体制の強化の重要性は、認識していることと思いますが、県内企業の方々と話す限りでは、現時点での県や市町のサポート体制は、企業のニーズに十分に応えているとはいえない状況にあるようです。悪しき前例主義、悪しき平等主義はやめていただかなければいけないと思います。 そこで、立地企業へのサポートをどのように行っていくのか、知事の所見をお尋ねします。
また、産業振興のために重要なことは、本県の特性を活かし、元気のある企業をどれだけ立地できるか、ということではないでしょうか。
本州とは瀬戸大橋でつながっているものの、現在の通行料金を考えると、企業から見れば、その物流コストは明らかにマイナス要因です。しかし、逆に、太古の昔から瀬戸内海は人、物、金や情報が動いた大動脈でありました。この地の利ならぬ、海の利を活かした産業を、産業振興の中核と位置づけ、積極的に立地を推進すべきではないのでしょうか。
私は、先日、我が県の地理的、歴史的条件のもとで元気のある企業にその元気の源を聞いてまいりました。そこで「地の利」についても、具体的に聞いてきました。例えば造船業であれば、瀬戸内海には古くからの海運の伝統と有力な船主(数十隻のタンカーや貨物船を大手海運会社に貸し出している会社が集中している)の存在があります。資本とビシネスの存在です。また、瀬戸内海を取り巻く地域で造船に必要な原材料、機械設備が調達できること、それら物は大きく搬入搬出は海運でなければ出来ません。港が無くてはなりません、また、瀬戸内の小雨、乾燥、穏やかな気候は、最終工程であるドックの屋外作業にも適していますし、労働日数が長いことにもなります。また、最近は、競争相手である韓国の賃金の方が高く、労務費の面でも充分太刀打ちでき、国際競争力も付いてきたと聞いております。今後の見通しも所謂 BRICSブラジル、ロシア、インド、中国の経済が発展しており、それら向けに今後5年間は先が読めるようです。希望の星は足元に在るかもしれません。
さきの我が党、筒井議員の代表質問に対する知事の答弁において、「地域産業の特性を活かし、今後5年間で、新規・増設の企業立地100件、新規雇用者数2千人を目標とする香川ものづくり振興計画をとりまとめた」と答弁されておりましたが、瀬戸内海の利を活かした企業の立地策について、知事のご所見をお尋ねします。
質問の第2点目は、道路政策についてであります。
まず、道路における交通事故防止策についてお尋ねします。
ご承知のとおり、本県の人口1万人当たりの交通事故発生件数は、平成15年以来4年連続で全国ワースト1位という不名誉な状況が続いています。
私自身も、最近車を運転する機会が増えましたが、香川の交通マナーはひどいと実感しています。信号無視、信号が青になっても赤で進入する車があるため左右確認しなければアクセルを踏めない状況、一旦停止違反、自転車も平気で並列で走っています。私も東京、大阪、奈良、群馬で住んでおりましたが、ここまでひどい状況はありませんでした。
本県の道路の整備状況は、道路密度が、大阪、東京、愛知についで全国4位、道路舗装率が千葉、宮崎と同率1位という数値が示すとおり、全国でもトップクラスです。こうした道路状況の良さと自動車の通行台数の少なさとが相まって、逆に運転者のマナーの悪さの一因になっていると思われます。まさに「過ぎたるは及ばざるが如し」という状況です。
交通事故防止のためには、運転者への交通違反の厳罰化や取締りの強化といった観点、運転者や歩行者のマナー向上のための取組が必要なことは言うまでもありませんが、道路そのものにも工夫が必要なのではないでしょうか。
例えば、北海道 標津 ( しべつ ) 町のある会社が、道立工業試験場と地元・ 標津 ( しべつ ) 町の協力のもと、3年前にメロディーロード工法を開発しました。
現在は、 標津 ( しべつ ) 町、愛知県豊田市などで施工されています。
この工法は、アスファルト舗装の表面を加工して、車両が通過する際のタイヤと舗装との間に発生する走行音が、メロディーとなり音楽のように聞こえるという仕掛けです。新聞でも「歌う道路」と紹介されました。
この仕掛けは、制限速度を想定して設計しているため、スピードを出し過ぎると音が聞き取りづらくなることから、スピード抑制に期待ができることに加え、「演奏」されるご当地ソングなどとあいまって観光PRにつながることが期待されています。
極めて無機質な構造物である道路からメロディーが聞こえてくる、遊び心のある大変面白い発想だと思います。また、硬いイメージのある役所の試験研究機関が協力しているのにも驚きました。交通事故防止のためには、このような柔らかい、遊び心のある発想が必要なのではないでしょうか。
現在、私の地元・多度津町では、見立・奥白方地区において、県道多度津丸亀線の工事が進んでおります。今まで曲がりくねった道が、広い道になるため、「スピードを出す車が増え事故でも起きやしないか。」と、地元の方、とりわけお年寄りや小さいお子さんがいる家庭からは、その危険性を心配する声を聞きます。
こうした新設道路で、謳う道路を試験的に取り組んでみるのも面白いのでは、と思います。
車のスピード防止のためには、他にも色々とアイデアはあると思いますが道路構造物にも工夫や仕掛けが必要であると考えますが、知事のご所見をお伺いします。
道路に関しまして、「さぬき浜街道」の県道昇格についてもお尋ねします。
「さぬき浜街道」は、高松市を起点に、高松坂出有料道路を経て、観音寺市に至る道路であり、高松と中・西讃を結ぶ主要幹線道路であります。しかし、この「浜海道」は、県道部分、市道部分・町道部分が混在し、一体的な管理ができておりません。
県道、市町道などの道路の種類は、道路法で定められておりますが、「さぬき浜街道」は、道路法上、立派に県道の要件を満たしております。
道路を造る時点では、区間によって、県、市、町と事業主体が異なるのはやむを得ないと思いますが、中・西讃地域においては国道 11号に次ぐ主要幹線道路である「さぬき浜街道」が、管理主体が「ばらばら」という状況はけっして好ましい状況ではないと思います。
近い将来、発生が予想される南海・東南海地震などの大規模災害が発生した場合、けが人等の搬送や救援物資の輸送のために複数の道路確保は絶対に必要であります。こうした観点からも、「さぬき浜街道」を県道に昇格させ、一体的な管理を図る必要があるのではないでしょうか。
昨年の9月議会において、知事は高松坂出有料道路の無料化の検討を表明されました。この有料道路の無料化時点までには、「さぬき浜街道」全線の管理のあり方を整理する必要があると思います。
そこで、「さぬき浜街道」全線の県道昇格について、知事のご所見をお尋ねします。
質問の第3点目は、地域手当についてであります。
私は、県庁とは県民を元気にするための砦であり、県職員は県民のためのシンクタンクであるべきだ、と考えています。従ってその待遇は相応の水準であってしかるべきと思っております。しかし、多くの県民からその給与は高すぎる、という声を聞くのも事実であります。このことを警察、教員も含め、すべての県職員に認識していただきたいと思います。
その背景には、本年9月に発表された国税庁の民間給与実態統計調査によれば、「民間企業で働く会社員や短時間労働者の去年1年間の平均給与は、前年比2万円少ない435万円で、9年連続で減少。年収別で見ると、200万円以下の人は前年比42万人増の1,023万人と、21年ぶりに1,000万人を突破。年収が1,000万円を超えた人は9万5,000人増の224万人。」といった事実があり、低所得者が増えると同時に所得格差が広がっているという実感があるのではないかと思われます。
さて、10月に人事委員会は、一般職の職員の給与等について報告、勧告を行いました。この中で、私自身、勧告書を何度読んでその考え方が納得できない項目があります。それが、「地域手当」です。先に知事から見送るとの表明がありましたが問題にしたいのはその考えからです。
勧告の中で、人事委員会は、国に準じた地域手当を導入するにあたり、1,高松市に在勤する職員とその他の市町に在勤する職員との間に給与上の格差を設けることは合理的な理由が見いだし難いこと、2,県内に本社のあるほぼすべての民間企業で支店等の所在地域により給与上の格差を設けていないこと、3,在勤地域により給与上の格差を設けることにより職員の士気の低下につながる懸念があること、といった問題を挙げながら、現在の諸条件の下、国に準じて県内に地域手当を導入せざるを得ないと結論付けています。
国については、対象が日本全国であり、民間企業の賃金も地域で違うため、地域間の調整を図ろうとする地域手当の趣旨は理解できます。しかし、委員会自身が問題点として挙げているとおり、面積が狭い本県に、地域手当がなじむとは思えません。まして、その根拠が人事院の勧告ということであれば、県の人事委員会の存在意義が問われることになると思います。
多くの問題点を認識しながら、地域手当の導入を勧告したのであれば、県民に分りやすく説明する責任があると思います。
そこで、地域手当の導入を勧告した理由を、人事委員会委員長にお尋ねします。なぜヘンバをわざわざしようとするのかを!地方公務員法のどこを見ても国と同じでなければならないとは書いておりません。
質問の第4点目は、中讃地区の運転免許証更新手続きについてであります。
さきの 9月議会におきまして、多度津交番の施設を活用した中讃地区の運転免許センターの設置を強く提案させていただきました。これに対し、警察本部長からは「設置した場合の利便性は十分認識しているものの、講習会場や駐車場等の相当規模の施設が必要であることから、厳しい財政状況も踏まえ、引き続き検討すべき課題であると考える。」という、前向きな答弁をいただきました。
同じことを繰り返しても仕方がありませんが、簡潔に申し上げますと、中讃地域の住民は、免許更新の手続きのために高松まで出向くことに大変不便を感じております。また、昭和59年の運転免許センターが高松に開設されるまでは各警察署で運転免許証更新が行われておりました。
警察の施策によって、中讃地区住民が車を運転する機会を増えることになり、それが交通事故の発生や排気ガスの排出を増やす一因をもたらしているのです。
9月議会の私の質問に対する本部長の答弁でもあったように、三豊・観音寺地区では、地元の警察署で運転免許の更新手続きが行うことができる併用制を採用しております。東讃地区や小豆地区のような即日交付が無理であれば、中讃地区において、運転免許センターができるまでの間、三豊・観音寺地区のように、各警察署で更新手続きを行うことができないのでしょうか。もう一度言いますが、中讃地区からは高松の免許センターは遠いのです。合理化のつけを住民にまわすのは止めていただきたいのです。
そこで、改めて中讃地区の運転免許証更新手続きについて、警察本部長のご所見をお尋ねして、私の質問を終了させていただきます。
地方公務員法
(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)
第 24条 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。
2 前項の規定の趣旨は、できるだけすみやかに達成されなければならない。
3 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の 事情を考慮して定められなければならない。
comment closed