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平成20年9月県議会定例会一般質問新田耕造オフィシャルウェブサイト

2008.10.22 category : 議会報告

平成20年9月県議会定例会一般質問(質問日:平成20年10月3日)通算5回目

自由民主党議員会 新 田 耕 造
ここ最近の日本の政治の流れをみますと、小沢民主党の日銀人事を政局にするという禁じ手を使うというやり方、発想に大いなる問題があり、政局あって国家なし、党あって国民なしのという手法であります。
国民の負託を受けた議員としての常識を疑うものであります。今日の政治の情況を招来した責任は与野党が共に国民に対して責任を持つべきものであると考えます。
さて、自民党県議会一年生の最後として質問をさせて頂きます。
かつて日本の経済は株式の持ち合い、銀行の間接金融機能、簿価会計、含み資産経営など 透明性が低いと欧米から批判されました。そこで時価会計、銀行のBIS規制など、グローバルスタンダードという名(柔道のルールのように)のルール適用を受け入れてまいりました。これには「金融帝国主義」だという指摘がありました。
今回のサブプライム問題は最も透明性が高いと云われ我々が模範としたその米国で起ったことであります。
ここで思い出しますのは、これらマネーゲームの世界とは対岸にあるマハトマ・ガンジーが残した7つの社会的罪の教えです。それは「原則なき政治」、「道徳なき商業」、「労働なき富」、「人格なき教育」、「人間性なき科学」、「良心なき快楽」、「犠牲なき信仰」。であります。
さて、こういう混沌とした時期は古典に限ると最近読んだ本は福沢諭吉。「文明論の概略」、「学問のすすめ」。これらは1870年代、日本の人口が3千5百万人位、アヘン戦争後30年、日清、日露戦争まで30年、という時期に書かれたものです。議会もなく、出版の自由も制限された時期でありました。文明論の概略にいわく。
「全国人民の間に一片の独立心あらざれば、文明も我が国の用を為さず、これを日本の文明と名づくべ可からざるなり。其の国の独立と云ひ、其の国の文明というは、其の人民相集まりて自ら其の国を保護し、自ら其の権議と面目とを全うするものなり。」と。
列強の極東侵略が差し迫まり、我が国が欧米の植民地にされてしまうという危機感がひしひしとありました。学問のすすめで「一身独立して一国独立す」といっているように、国民の一人ひとりが自立し、賢くなることが国家の近代化と繁栄をもたらす。それには早く西洋文明を学び、個人の自立のためには何よりも教育が不可欠だとした。では、その学問の目的はなにかといえば、「心身の独立を全うし自から其身を尊重して人たるの品位を辱めざるもの、それを独立自尊の人と云う」。つまり近代人になるためには、まず自分で考え、自分で行動し、他人に頼らない精神を持つことが必要だと説きました。なぜ、この精神が必要なのか。「独立の気力なきものは必ず人に依頼し、人に依頼するものは必ず人を恐れる。人を恐れる者は、必ず人に諛(へつら)うものなり。常に人を恐れ、人に諛う者はしだいにこれになれ、その面の皮、鉄のごとくなりて、恥ずべきを恥じず、論ずべきを論ぜず、人をさえみればただ腰を屈するのみ」だからだという。
百年以上の昔、未来に対しての緊張感、これは今日の県政にあっても同様であります。ましてや県庁やそのトップの知事に自ら独立の気概なくしては真の自治もないというのは古今東西の歴史が示しているところであります。

質問の第一点目は、渇水対策についてであります。
この夏、東京の友達を香川に誘ったところ、水不足で大変でしょう、お風呂は入れるんですかと質問されました。マスコミで香川の水不足が実際以上に宣伝されており、表面化しませんが観光や会議の誘致にとっての逸失利益は相当あるだろうと感じました。
今年の渇水は長期化、深刻化しています。8月31日に早明浦ダムの利水容量がゼロになり、同時に、水道用水として発電専用容量からの緊急放流が始まり、1975年に早明浦ダムの運用を開始して以降、初めて長期にわたる本格的な発電専用用水の放流が行われました。その後の降雨があったものの、現在も厳しい状況が続いています。
早明浦ダムのある地域は、降水量の年々の変動が大きく、降る時と降らない時の差が大きいという見方があります。また、日本全体でも、ゲリラ集中豪雨の多発など雨の降り方の不安定さが増す傾向があります。このような変化を踏まえ、安定した水資源管理をいかに進めていくかが今後の課題であると考えます。そこで、海水淡水化について質問いたします。
ある県民から質問を受けました。「毎年のように渇水が言われている。県は抜本的な対策がないのか。今年も冬までこのまま雨が降らなければどうなるのか。お天道様任まかせでは心もとない。政策がない。わが県は海がまわりにあるのだから海水淡水化設備を造って渇水時に利用すればどうだ。そのための負担なら喜んでする。こういう目的税なら賛成だ」というものでありました。私もこの海水淡水化プラントについてある大手商社に依頼して勉強をしました。海水淡水化はカリブ海諸国、地中海、中東、東南アジアなど世界各国で実用化されています。我が国でも、沖縄県では総事業費が347億円、40,000立方メートル/日、福岡県では408億円、50,000立方メートル/日、で稼働中です。この事業費を色々な条件を度外視してわが県民一人当たりに直すと大体3万5千円、4万円ということで、自動車保険と比較しても決して高くなく、渇水時の安心を買う保険料としては法外な金額ではないと思います。また、運用方法も常時運転するのでなく渇水時だけにする。
知事、一般の県民は毎年々の渇水対策への無策に憤っています。雨が降ればまた、この問題はうやむやにされるだろうと。この問題は2つの要素を含んでいます。1つ目は、渇水問題を抜本的に解決する意欲があるかどうかということです。渇水対策のメニューには雨水利用、地下ダム、人工降雨など色々と方法がありますが、唯一天候に左右されない海水淡水化について、メリット、デメリットを洗い出し、その財源も含め、この際真剣に検討してはどうか。2つ目は、最終的に独自の財源を確保して県独自でも行う覚悟があるかということです。安心するための保険として時限的な渇水対策目的税を提案し、県民の信を問うてみる気はないか。これらについて、知事のご所見をお伺いします。

質問の第二点目は、自転車乗り入れ列車、いわゆるサイクルトレインについてであります。
昨今の原油高騰や二酸化炭素削減要求の高まりを背景として、公共交通機関や自転車など自動車以外の交通手段に国民の関心が高まっています。また、自動車の運転が困難な高齢者が増えることなども考え合わせると、私は、自動車以外の交通手段の利便性の向上について、真剣に検討しなければならないと思うのです。
その1つが自転車です。自転車は便利で、環境にやさしく、健康の維持・増進に効果的な乗り物であります。本県は、地形が平坦で雨が少なく、温暖な気候に恵まれているので、自転車が非常に利用しやすい環境にあります。とりわけ、高松市では自転車利用の多さが全国トップクラスです。ただ、自転車の移動は、比較的狭い範囲に限られるという欠点があります。この欠点を克服し、短い時間でより広い範囲の移動を可能にする手段として、公共交通機関と連携する。すなわち、列車内に自転車をそのまま持ち込めるサイクルトレインがあり、欧州(特にドイツ)では実用化されております。
サイクルトレインは、一時的な試験運用も含め、すでに全国の複数の鉄道で実施されており、JR四国でも来る 10月11日から開催される「サイクルタウン香川 自転車ワールドフェスタ2008」のイベントとして実施すると聞いております。また、香川の自転車利用を考える懇談会が平成19年8月にまとめた「提言書」の中でも、さらなる自転車利用の促進のための具体的取組としてサイクルトレインの日常的な運行を検討することが望ましいとの提言がなされています。
地方の場合、公的機関、商業施設、観光地も、実際には駅から歩いて行くにはかなり距離がある場合が多く、このことが鉄道を利用しない一因と考えられますが、サイクルトレインが利用できると鉄道と自転車の組み合わせで車以上に便利な移動手段になり得るのです。また、公共交通機関の利用促進にもつながります。さらに、自転車遍路と呼ばれる四国88箇所参りも人気があるようで、サイクルトレインが新たな観光の種になる可能性もあります。
このように、サイクルトレインは、既存インフラの活用で様々な課題解決の一助となり得る新たな交通手段であります。その日常的な運行に向けたシステムづくりについて、鉄道会社と連携して検討してはどうかと考えますが、知事のご所見をお伺いします。

質問の第三点目は、県産品の商標戦略についてであります。
本年6月県議会において、私は、さぬきの商標権問題と県産品の販路開拓や輸出を促進するための海外商標の活用などについて質問させていただきました。
これに関して、県では、関係部局で組織する「海外展開・知的財産連絡調整会議」を設置し、商標を巡るトラブルを予防し、海外での販路拡大を支援する体制が動き出したところです。また、今回の補正予算で、海外で県にちなむ地名や商品名が登録出願された場合、業界団体とともに異議申し立てを行う経費などを含む知的財産推進事業230万円を計上し、ようやく本腰をいれたことは評価しております。
ところで、県産品の販路開拓や輸出を促進するための海外商標の活用について、私は、山形県の取組を例に挙げて、県産品輸出用ブランドマークを策定し、輸出促進とともに香川県産品のブランド化の一助としてはどうかとの提案をいたしました。これに対しては、今後、「知的財産推進プログラム」などを策定する中で、各事業者団体の意見も聞きながら、その必要性について検討する、との答弁でありました。
この県産品輸出用ブランドマークの最初の取組は、福岡県であります。福岡県では、県産品の海外展開に際して、平成16年に県産品輸出用ブランドマークを策定しました。これを香港、台湾、韓国などで商標登録し、輸出促進支援に活用しております。また、最近では、和歌山県が、県産輸出品ロゴマークを策定することとし、本年7月から約2ヶ月間、図案募集を行うなど、新しい動きも出てきております。本県でも、「さぬき」や「こんぴらさん」など、国内外で「香川」よりもより知られたキーワードや図案を入れるとか、図案作成に、例えば、ジミー大西氏や片岡鶴太郎氏などの有名なアーティストを起用するといった話題性のある取組を行ってはどうかと考えます。
県産品の海外への販路開拓や輸出促進に向けた取組は、今後、益々地域間の競争となってくるでしょう。そこで、県産品輸出用ブランドマークの策定を再度提案したいと思いますが、現在の検討状況や今後の取組に向けた考え方について、知事のご所見をお伺いします。

質問の第四点目は、学校教育法に基づく新しい職の設置についてであります。
学校教育現場においては、子どもたちの学ぶ意欲や道徳心・自立心の低下、いじめや不登校の増加など、ますます深刻化する課題に加え、保護者や地域からの意見や要望等への対応など、学校に求められる役割や責任が増大し、多様化しています。こうした諸問題には、それぞれの学校が組織的かつ迅速に対応することによって、保護者や地域住民の理解と協力を得ていくことが大切となっております。一方、学校教育現場のこのような状況の中で、教員、特に管理職の多忙化も指摘されるところです。
こうした中で、学校における組織運営体制や指導体制の確立を図るため、学校教育法が改正され、平成20年4月1日から、新しい職として、副校長、主幹教諭及び指導教諭を置くことができることとなりました。
先の文教厚生委員会において、現在の検討状況に関する質問に対し、教育長から「副校長と主幹教諭について、平成21年4月1日から設置したい。副校長については、中高一貫教育校の中学校の教頭を副校長とし、主幹教諭については、小学校6校、中学校3校、高等学校6校の15校程度で設置したい」との答弁がなされました。
もとより、これらの新しい職については、学校における組織運営体制の充実や指導体制の確立を図るために設置できるようになったものであり、本県においても学校教育の充実につながるよう活用を図る必要があると考えます。特に、主幹教諭については、校務の一部を整理し教員をサポートする職であることから、教員の多忙化の解消が期待され、大いに活用する必要があると考えるのであります。
そこで、まず、副校長と主幹教諭について、本県の学校教育現場において、それぞれ具体的にどのような役割を果たす職として設置しようと考えているのか、お伺いします。
次に、主幹教諭の配置数については、15校程度とのことですが、学校組織の機能強化を図るために、より多くの学校で配置する必要があると考えますが、その拡充についてどのように考えているのか、お伺いします。
さらに、今回、指導教諭の設置については言及されていませんが、指導教諭は、「教諭その他の職員に対して、教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う」職とされており、教員の資質向上のためには必要な職ではないかと考えますが、教育長のご所見をお伺いします。

質問の第五点目は、中讃地区の運転免許証更新手続についてであります。
このことに入る前に、今週はじめ多度津町西浜で放火事件がありました。私の実家近くで、平和な地区でしかも警察官舎の至近です。ここまで治安が悪化したかと驚いております。捜査と警邏を強く要望いたします。
さて、昨年2回の県議会におきまして、多度津交番の施設を活用した中讃地区の運転免許センターの設置を強く提案させていただきました。
その後、地元でスクターに乗った、ある方からお褒めの言葉をいただきました。
その方(婦人)は、原付自転車の免許証しか持たない方です。その免許証の更新が近いのですが、更新手続のため、多度津町から遠く、自動車の通行量も多い高松の免許センターまで原付自転車で出向かねばならないということで、「昔は多度津警察署で出来たのに。」と不満を感じていたそうであります。こうした中、私の「中讃地区の運転免許センターの設置」の提案をお聞きになり、「よくぞ言ってくれました。」とお褒めの言葉をいただいた次第であります。
これまでも申し上げてきましたが、中讃地区の住民は、
ほとんどの生活を中讃地区内で完結しています。高松などには出かけないのです。免許更新の手続のために高松まで出向くことに大変不便を感じております。また、警察の施策によって、中讃地区の住民が自動車や二輪車を運転する機会を増やし、それが交通事故の発生や排気ガスの排出を増やす一因をもたらしているのです。
警察行政においても、合理化、効率化は確かに必要でしょう。しかし、こうした住民の生の声、不安や不満を訴える生の声に、県警察は素直に耳を傾けるべきだと私は思います。県警察の合理化の果実を住民にまわさない状態は、直ちに改めるべきだと私は思います。

例えば、パスポートの申請の受理や交付に関する窓口は、高松にある県パスポートセンターのほか、中讃地区を含む4つの県民センターにも設けられており、身近なところで手続ができます。また、お隣の愛媛県では、今年の10月からこのパスポートの窓口業務の権限を、15市町に移譲します。行政が住民の利便性を競争する時代に、本県の警察では、なぜ中讃地区の運転免許証の更新を高松で一括して行わなければならないのか、甚だ疑問であります。さらに、コスト面の問題であれば、運転免許センターの事務の外部委託などを含めて検討することなど、工夫の余地があるのではないかと考えます。
そこで、改めて中讃地区においても、運転免許証の更新手続ができるよう警察本部長に強く提案したいと思いますが、警察本部長のご所見をお伺いして、私の質問を終了させていただきます。

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