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平成20年11月県議会定例会一般質問新田耕造オフィシャルウェブサイト

2008.12.22 category : 議会報告

平成20年11月県議会定例会一般質問(質問日:平成20年12月11日)通算6回目

最近、ギリシア、ローマの物語を読んでいます。
今から2500年前、古代ギリシアの喜劇作家アリストフーネスの「女の平和」は今日でもしばしば上演される喜劇であります。物語の詳細は避けますが、男達が始めた戦争を女性達が立ち上がり突飛な手段で戦争を止めさせるという喜劇で、古代ギリシアの時代から平和を人々がどんなに望んでいたか、また、平和が当時も大きなテーマであったかが感じられます。「戦争とは?」と考えますとどうしようもない人間の業を感じる昨今であります。
ところで、古代ギリシア、ローマの政治制度は独裁制を嫌い権力が個人に集中するのを排除する色々な仕掛けがありました。たとえば、アテネでは僭主(独裁者)の出現を防ぐため陶片追放と呼ばれる制度があり、陶器のかけらに僭主になりそうな危険人物の名を書き、投票で一定数を超えた者を10年間、国外追放するというものでした。ただし、政争の具に使われ多くの優秀な人間などが追放されることもあり、後に行われなくなりました。
プルタークの英雄列伝でその有名な逸話をご紹介いたしますと「アテネ政界の大立て者アリステデスが慣例となった陶片追放の投票場で投票しようとしていたとき、アリステデスに文盲の男が近づいて来て。自分で字が書けないその男は、アリステデス本人と知らずに、「ここに、アリステデスと書いてください」と言った。アリステデスは男に尋ねた。「彼(アリステデス)は、何か、あなたに悪いことをしましたか」。
男は答えた。「いいや迷惑なんかなんにもない。当人に会ったこともない、ただどこへ行ってもあの男が大人物だ、正義に士だと呼ばれるのを聞き飽きたからだ」アリステデスは何も言わず自分の名前を陶片に書いて男に渡してやった。この年、彼はアテネから追放された。
ここに今にも通じる衆愚政治の危うさを感じます。
古代ローマの共和制度も制度疲労や度重なる内戦に飽き、オクタビアヌスにより合法的な手続きにより帝政へと移りました。
また、現代では第一次世界大後のドイツで当時最も民主的といわれたワイマール憲法下で大衆の支持を得たヒトラーはプラトンの哲人政治を掲げ合法的な手続きで総統に選出されました。その後はご説明するでもない不幸な結末になりました。
最近、日本の新聞、テレビが、一国の総理がホテルのラウンジを度々使うことを庶民感覚がないと非難しておりました。人々の嫉妬心を煽り、あるいは猜疑心を煽り、世論を誘導していく図式は古代ギリシアで危険視された僭主が権力を握る過程に似ております。マスコミが煽った小選挙区制導入、小泉改革などの結果はどうだったのでしょうか? いつかたどった道であります。こういう雰囲気では折角の経済対策や、雇用対策も正しく評価されません。今の民主主義制度も万全ではありません。絶えず監視の眼をこらしていなければなりません。敢えて逆風に向かってわれわれ議員こそが立ち向かっていかなければならないと思います。

質問の第1点目は、定額給付金についてであります。
個人的には医療、年金、介護福祉が重要であるという認識を持っています。また自助、自立の観点から問題もあり大変不人気な政策であるということを承知の上であえてヘンコツ心で質問いたします。政府の追加経済対策の柱の一つである定額給付金は、原則国民一人当たり一万二千円、65歳以上と18歳以下は一人当たり二万円を支給するとその概要が決まったようです。
ところで、本年9月国税庁発表の平成19年分の民間給与実態統計調査によりますと、1年を通じて勤務した給与所得者は約四千五百万人で、給与所得が二千万円を超える者は二十二万人で、率にして0.4%であります。例の千八百万円の層です。
反対に、年収二百万円以下の者は一千万人強で、率にして約23%という結果でありました。実に4人に一人が二百万円以下という調査でした。
いま困っている人をいかに支援するか。ばらまきだとか、経済効果が薄いなどとの批判は当然予想されるものであります。それを敢えて実行に移すという姿勢、いま一番困っているであろうという人たちになりふりかまわぬ支援をしようという姿勢だけは評価に値すると思います。普段、生活苦を訴える労働者側に立った発言をしている方々が今回批判にまわっているのは納得がいきません。
二百万円以下の給与所得者にとって、一人当たり一万二千円、ないし二万円という定額給付金の額は、必ずしも低額ではないと思います。
一方、自治体が事務の煩雑さや窓口の混乱を理由に制度を批判していることについては、疑問を感じます。公務員は全体の奉仕者であります。国民、県民が喜ぶサービスを提供することに対して、事務的に困難だからという理由で制度を批判するのであれば、納得できない話です。仕事の放棄です。
そこで、定額給付金を支給する市町の体制づくりに対して、必要があれば県として人的支援も含めて、制度が円滑に実施されるよう積極的に市町を支援してはどうかと考えますが、この点について知事のご所見をお伺いします。

質問の第2点目は、後期高齢者医療制度についてであります。
本年4月にスタートした後期高齢者医療制度については、事前の説明が十分行き届いていない状況で施行されたことや、年金から保険料が天引きされることなどにより、不評を招いたところであります。
スタート時の混乱や批判を受けて、政府は、6月に制度の見直し策を決定しました。これにより、今年度は、年金収入が年168万円以下の人は10月から半年間、保険料徴収を凍結し、保険料のうち定額負担の「均等割」を実質8割5分減額するなど、低所得者の保険料負担が軽減されたほか、保険料の年金からの天引きの見直しなどが行われることとなったところであります。
さらに、舛添厚生労働大臣が、見直し私案を打ち出しました。私案は、市町村単位で運営している国民健康保険を都道府県単位に再編し、後期高齢者医療制度と国民健康保険を一体運営するというものであります。私案のねらいは、制度として年齢にかかわらず一本化できること、国民健康保険を都道府県単位とすることで国民健康保険の財政を安定化させること、地域医療において都道府県が主体的な役割を果たすようにすることなどとされております。
この私案に対して、都道府県の知事の多くが反対の立場を表明しました。11月1日付けの国保新聞の記事によると、香川県を含む29人の知事が厚生労働大臣私案に反対を表明、17人の知事が賛否不明ということでした。
私は、そもそも後期高齢者医療制度は議論になった時からおかしいと考えておりました。それは、長寿を医療費という数字に置き換え、コストがかかるので長生きすることはいけないことであるかのような風潮をつくった点であります。或いは世代間、制度間の損得云々を煽るような議論になったことであります。
また、本来は互助、共助の分野である健康保険に所謂アングロサクソン流と思われる、民間保険の手法、(事故率の高い層は保険から除く)という経営手法が見え隠れすることであります。我々日本人は古来からお年寄りを敬う精神を持っていますが、この制度によって、敬老精神が希薄化することは問題であると考えます。しかし、この制度でやっていくのであれば、厚生労働大臣私案のように都道府県が運営主体となることにはある程度の合理性があると考えるのであります。都道府県が地域医療に主体的な役割を担っていくことが、財政も含めた制度の安定的運営や責任の所在の明確化につながるものと考えるところであります。
そこで、知事は、厚生労働大臣私案にどのような理由で反対されたのかについて、お伺いします。政府与党も来年に向けて改正案を出そうとしているこの時期こそ地方としてのしっかりとした考えを表明すべきだと思います。

質問の第3点目は、市町の財政健全化についてであります。

本年4月に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が一部しこう施行され、都道府県及び市町村で健全化判断比率等を算定することになり、過日、その結果が公表されました。それによりますと、県内17市町とも、国が定めた基準を下回っておりますが、一部には、実質公債費比率や将来負担比率が早期健全化基準に近い水準になっている市町も見受けられたところであります。
県も、健全化判断比率等については、国の基準を下回っておりますが、非常に厳しい財政状況であるとの認識のもと、平成16年10月に財政再建方策を、さらにはその後の状況変化を踏まえて、平成19年11月に新たな財政再建方策を策定し、職員の給与カットや職員数の削減などによる総人件費の抑制、投資的経費の抑制などにより、財政再建に取り組んでおります。特に、職員の給与カットについては、平成20年度から平成22年度までの3年間、知事等の特別職だけでなく、一般職の職員も、管理職員で給料の5%、管理職員以外で給料の平均3%をカットしており、財政再建に向けた真剣さの表れであり、辛い決断だったろうと評価しているところであります。
こうした県の財政再建に向けた取組を見るにつけ、私は、県内の市町ももっと積極的に財政再建に取り組む必要があるのではないかと思うのであります。今の時期、各市町では広報誌等で財政状況、や給与の現状を公表しており、住民の関心事であります。市町は住民により身近な基礎的自治体として、県と連携しながら、住民福祉の増進に努めていかなければなりません。北海道夕張市の財政破綻後の厳しい状況からもわかるように、市町が財政的に破綻してしまうと、住民の生活に直接的に相当大きな影響を及ぼすことになります。県民の負託に応えるために、県はもちろん、市町も財政再建や健全な財政運営に不断の努力をしなければならないのは当然のことです。
そこで、県内の市町で、県のように職員の給与カットもして財政再建に取り組んでいる市町があるかどうかお伺いします。また、財政状況が悪い市町に対して、県はどのように指導あるいは助言をしていくのかについて、知事のご所見をお伺いします。

質問の第4点目は、羽田空港再拡張への対応についてであります。
平成元年12月に開港した高松空港も来年、開港20周年を迎えるということで喜ばしいことですが、国内各地に路線網を張り巡らせていた時代は遠く過ぎ去り、ピークの平成十年当時には国内線・国際線を合わせて12路線を数えていたものが、今や東京、鹿児島、那覇及びソウルへの4路線のみとなっています。
確かに定期便利用者数自体は、平成6年度に150万人を突破して以来、この水準をほぼ維持しているようですが、このうち東京便が約9割と、いいも悪いも全て東京便頼みとなっているのが高松空港の現状であります。
さて、その東京便ですが、現在、全日空と日本航空がそれぞれ5便ずつ合わせて10便が運航されていますが、2社のダイヤを見ると、昼間の一部の便を除き、高松発、羽田発のいずれの便もほぼ同時刻であるうえ、昼間の便の間隔があまりにも長く、利用者からは増便やダイヤを見直すことで利便性を高めて欲しいとの声も多く聞かれます。
先月もダイヤの一部を変更するなど航空会社側も努力しているようですが、羽田空港の発着枠が十分に確保できないといった事情もあって、高松空港をはじめとする地方空港の東京便については利用客のニーズに応えきれていないようです。
こうした状況を受け、また、日本の国際競争力を強化する観点から、現在、平成22年10月の完成に向け、羽田空港で4本目となるD滑走路の整備が進められており、これにより羽田空港の年間発着枠は約11万回増えて、約40万回となるようです。その増加する発着枠を巡り、従来、年間3万回としていた羽田の国際線枠を見直し、深夜・早朝時間帯を活用して6万回にするとした「首都圏空港の国際航空機能拡充プラン」が発表されており、国内路線の発着枠拡大を期待している地方の知事からは、こうした動きを危惧する声が上がっています。残り8万回については、国内線・国際線の配分は決まっていませんが、仮に、8万回すべてが国内線に割り当てられるとすれば、単純に計算すると、羽田空港発着路線を開設している各地方空港で1日当たり4回程度発着枠が割り当てられる計算になります。航空会社の意向等もありますが、少しでも高松空港の発着枠が増加するよう努力してほしいと考えます。
そこで、高松空港の東京便の増便や運航ダイヤの改善など利便性向上を図るとともに、唯一の国際定期便であるソウル便の維持のためにも、この機会をとらえて、羽田空港の増加する発着枠をより多く高松線に割り振られるよう取り組んでいくべきと考えますが、県として、これまでどのように取り組んできたのか、そして、今後、どのように取り組んでいくつもりなのか、知事のご所見をお伺いします。

質問の第5点目は、警察官の人材確保についてであります。
確実に不況の足音が聞えこる今、今後数年の予想される社会を思いますと、不況が来ると失業者が増えます。失業者が増えると犯罪件数も増えます。そうすると社会が不安になります。そうするとそれに乗じ、不満のはけ口を求めて、政府や要人へのテロや暗殺が増えます。このことが、最近の厚労省元次官事件、インド・ムンバイでの事件などのように、一層社会を暗くさせます。これは我々が今も直面し、嘗てたどってきた歴史であります。大正7年の米騒動や昭和7年の五・一五事件、昭和11年の二・二六事件、平成7年3月の地下鉄サリン事件は、この日本で起こったことを忘れてはなりません。
さて、本県の治安情勢の推移を見ますと、平成15年まで増加の一途をたどっていた刑法犯の認知件数が、平成16年度以降連続して減少しております。ただ、平成19年の件数は、10年前の1.5倍と依然として高い水準であります。また、刑法犯の検挙率も、平成15年に最低を記録しましたが、平成16年以降連続して上昇しております。しかし、先ほど述べた理由により安心できる先行きではありません。本年9月に公表された平成20年度県政世論調査結果の速報では、「安全な社会の構築」に関して、91.4%が「重要である」と認識している一方で、34.0%が「不満である」との結果が出ており、県民も漠然とした不安を抱いていると推測されるところであります。
警察活動の基盤は、改めて申し上げるまでもなく「人」であります。また、その人数でもあります。しかし、警察の現場では、一年365日が警察活動という勤務の特殊性から、人手不足でそのやりくりが大変だと聞いております。治安再生プログラムでも、「人的基盤の充実・強化」が掲げられておりますが、大量退職時代を迎え、優秀な人材をいかに採用するかが、今後の組織基盤の強化につながる喫緊の課題であります。
民間企業では優秀な人材を採用するために、多額の募集費用をかけるのは当たり前であります。あの手この手と種々工夫して募集活動を行っております。また、警察の使命は住民の安全に奉仕するという崇高な仕事であります。このような仕事を志す若者は、全国的には決して少なくありません。県警察においても、単に応募を受けるだけではなく、全国から優秀な人材を求めるという視点に立って、積極的な働きかけをもって募集活動に取り組むべきであると考えます。
現在の警察官の人員は、定員に達していないと聞いております。そこで、最近の警察官の新規採用について、採用計画どおりきちんと採用できているかということも含めて、その状況をお伺いするとともに、優秀な人材を採用するためにどのような募集活動を行っていくのかについて、警察本部長のご所見をお伺いします。

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