平成22年9月県議会定例会一般質問新田耕造オフィシャルウェブサイト
平成22年9月県議会定例会一般質問(質問日:平成22年10月8日)通算13回目
根岸教授、鈴木教授がノーベル賞受賞という明るいニュースがありました。日本人として勇気をもらいました。
秋は読書の季節です。ちんしゅん陳舜しん臣氏の「小説一八史略」を読んでおります。小説とはいえ中国の歴史を理解するにはよい教材であります。
紀元前、秦の始皇帝誕生の前夜から始まり前漢、後漢、春秋戦国、隋、唐、宋、そして南宋が元に滅亡されるまで約千年の物語であります。権謀術策、権力闘争、異民族の侵略、統一た分裂、
はたして、今、日本と中国で起こっている事件の原型がこの小説の中にあるようで興味深く読みました。
また一口に中国と言っても、どの時代のどの民族の中国かを特定しないと中国の話はできません。またその領土も中央アジアから東アジア一帯であった時代もあり、その影響力や領土も広大でありました。唯一東アジアで臣下の礼を取らなかったのは聖徳太子の有名な書簡「日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す」や元寇でも屈服しなかった我が国ぐらいでありました。
歴史はくり返すといいます。最近の中国の動きは不気味です。資源外交、あからさまな海軍力の誇示、歴史的に見ても中国で統一王朝が出来ると必ず領土拡張の動きがおこり、周辺国は非常な迷惑を被りました。アジアの諸国は、今回のこの統一王朝である中国共産党政権の動きに警戒感を強めております。本来なら日本を頼りにしたいところですが本音ではどうも幼稚な外交に頼りにならないと解ったようです。韓国の新聞は「力なき正義は外交では通用しない」と酷評したようです。
さて今回の尖閣諸島問題、教訓とすべき二つの史実があります。
ひとつは大津事件です。明治24年(1891年)、5月11日、日本訪問中のロシア皇太子・ニコライに警備の巡査・津田三蔵が切りかかった殺傷事件です。今にも戦争になるという恐怖心から朝野をあげての死刑要求を時の大審院(最高裁)児島惟謙(これかた)院長は当時の法律では死刑は適用できないとして無期懲役とした事件であります。判決当時は大批判をあびましたが、後には司法の独立を守ったと評価されました。百年以上前の明治人の国家の威信への気概を感じます。
もう一つは1938年(昭和13年)9月29日、ミユンヘン協定であります。イギリス首相ネヴィル・チェンバレンはナチスドイツとチェコスロバキアとの領土紛争に仲介して、チェコスロバキアのズデーテン地方をドイツへ割譲を認めさせた協定です。このことの前にヒトラーはベルサイユ条約で非武装地帯と決められたラインラントに進駐してフランスを試し、その後オーストリアを併合しておりました。このヒットラーに対してチェンバレンがとったのが宥和政策であります。イギリスに裏切られたチェコの落胆に反し、協定直後は戦争を回避し、平和に貢献した功労者としてチェンバレンは帰国時に群衆から万雷の拍手と共に迎えられました。しかし、結局はヒトラーに「ポーランドや周辺国に侵入しても英仏は参戦しない」という間違ったメッセージを与えてしまい、結局第二次世界大戦を誘発してしまった。という教訓であります。
菅政権の皆様には「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」というビスマルクの言葉をぜひ思い出して頂きたいと思います。
今回の尖閣諸島問題、国民は怒っています。政治主導と言いながら、今回の船長釈放という高度の政治判断を那覇地検に押しつけた事であります。行政に責任を転嫁させたり、海上保安庁の秘密でもないビデオの公開を拒否するなど姑息なその考え方であります。各社の世論調査での内閣支持率の急落が物語っています。国民は利口です。
巷の声を聞きますと「総理は自分が政治家として判断し責任を取ると言えばよいのに」とか「那覇地検という検察の下級組織が外交や国民の安全を云々するなら政治家や外務省はいらない。」など辛辣であります。
我々日本人は周辺を海に囲われ国境線をあまり意識しない国民です。しかし、ほとんどの国際紛争の原因は国境問題です。国境は国力の盛衰によって変わります。国境は不断の努力で守らなければ侵食されます。今回の中国共産党のマッチポンプ的恫喝外交は、かつての帝国主義の領土拡張の常套手段を尖閣諸島に適用しているとしか思えません。中国が自国領土だと主張している以上今回のような事をくり返し、いずれ軍事的方法を取る可能性があります。危機感を持って事に当たらなければ、正義だとか冷静にだとか言葉で言っても通用しません。その備えとして防衛力の整備は当然として、アメリカがチェンバレンのような行動を取らないような外交努力をすると同時に自らの領土は自ら守るという決意を内外に示さなければ誰も助けてはくれません。
円高で年末にかけて景気が大変なことになりそうです。国内でもまだ政権交代して一年だからという「待った」も、そろそろ通用しなくなる時期ですが、外交はサッカーのワールドカップと同じで新米だからといってミスをしても「待った」はしてくれません。ミスをすれは即刻国益が失われ他国は喜びます。「菅総理あなたは試されているのです。心して政権運営にあたって下さい。そして駄目だったら即刻辞職して下さい。あなたの代わりは雲霞のごとく居ます」と申し上げて一般質問に入ります。
質問の第1点目は、知事の政治姿勢についてであります。
今年の知事選は、12年ぶりに新人候補同士の戦いとなりました。国政とは違い、より住民の日々の生活に近い県政においては、県民の生活や福祉の向上を図っていくことが重要であります。特に最近は、民主党政権の迷走を見ても分かるように地方の実情が分からない国に対して、地方の実情や意見を言い、必要なときは対立する場面も起こります。
そこで、県議会の主要4会派が、行政経験が豊富で卓越した識見を有する浜田氏を擁立し、選挙戦を戦い、当選を勝ち取ったところであります。結果は県内の全市町で得票数1位を獲得する完勝でありました。しかしながら、総得票数は16万票余りに留まり、投票率も辛うじて前回を1%強上回る36.92%と低投票率でありました。
この原因は主要4会派相乗りで有権者の関心が薄くなり、浜田候補の信任投票的選挙になったこともあり、盛り上がりに欠けた選挙になったことは否めません。しかし、逆説的に評価すれば浜田知事は安心な人物であるという県民の評価であったともいえます。前知事の真鍋氏も低投票率の選挙で三期務めましたが、新聞報道によれば、最終的には、真鍋県政に対する肯定的な評価が7割を超えていたということを考えますと、必ずしも低投票率が人物の支持率に直結しているとはいえません。
ところで、8月31日の朝日新聞に興味深い記事が出ておりました。それは、出口調査に関するものであり、これによると自民、公明の支持層はそれぞれ8割近い人が浜田知事に投票しているのに対し、民主、社民の支持層は、それぞれ4割にも満たなかったということでした。
知事は、今議会冒頭のあいさつの中でも「県民本位の県政を肝に銘じ、県民の代表である県議会の議員の皆様方との緊密な連携のもと、不偏不党、公平公正で透明性の高い県政を推進してまいりたい」と発言しました。しかし、一方で、知事は政治家であり、もう官僚ではありません。選挙で自分を支持してくれた人たちの気持ちや期待を大切にしていただく必要があると思います。知事がよって立つべき声なき声を、耳を澄ませて聞いていただき、県政にいかしていただきたいと思いますが、県政の舵をどのように取っていかれるつもりなのか、質問いたします。
質問の第2点目は、中讃地区の運転免許更新手続についてであります。
私は、過去6回、一般質問で、中讃地区の免許更新手続に関する質問をさせていただきました。知事も代わられたので、改めて、伺いたいと思います。
中讃地区では丸亀署、善通寺署の統合が議論されております。住民の安全安心はこれまでどおり確保できるとの説明で、既に多度津署は廃止され、多度津署は勿体ないことに交番となっています。しかし、多度津町民の体感治安は悪くなっています。警察は、本来そのあり方を運用の効率だけで議論する組織ではないのであります。また、警察行政においては、犯罪の抑止が最重要であり、警察署の、存在自体が犯罪の抑制につながっていると思います。そういう意味で、警察署の統合は、地域住民が必ずしも望むところではありません。多度津町という町、警察署が統合された町の経験から申し上げています。警察署の統合が、限られた警察力の有効かつ効率的な運用というのであれば、統合によるメリットを住民にも目に見える形で示してほしいのであります。そういう意味で、警察署統合の機会に中讃地区に運転免許センターを整備することを、提案いたします。
県全体の運転免許保有人口は、平成22年8月末時点で、約67万9千人です。このうち、東讃地域に属する東かがわ署、さぬき署管内の合計は約6万人で県全体の約9%、三豊地域に属する三豊、観音寺署管内の合計は約9万4千人で約14%です。東讃地域では、平成10年に運転免許東讃センターが設置されており、また、三豊・観音寺地域では、各警察署が窓口となり、いずれも地域内で運転免許証の更新手続ができるのです。一方、中讃地域に属する丸亀、善通寺、琴平署管内の運転免許保有者は合計約13万5千人で、県全体の約20%を占めているにもかかわらず、中讃地域内で更新手続ができず、不便を強いられているのです。
中讃地区の運転免許更新手続については、これまで、多度津交番の施設を活用した運転免許センターの整備、あるいは、各警察署での更新手続、さらには、中讃地区の拠点警察署へ運転免許センターを整備してはどうか、また、中讃地区の遊休県有施設を活用するなど、警察本部だけではなく、県全体での検討でコストを抑えてはどうか、といった質問をさせていただきました。
そこで、中讃地区に運転免許更新のセンターを整備することについて、警察本部長のご所見を伺います。
と同時にこの問題は財源の問題でもあり、住民サービスの問題でもあります。これは、行政のトップとして知事の姿勢にかかわる問題です。警察の問題だと矮小化せず、県の行政のトップとして知事に本件のご所見を伺います。本件はわたし一人ではなく中讃選出の県議の多数の意見でもあります。ぜひ緊密な連携のもと推進していただきたいと思います。知事、原付で高松の免許センターまで行くことを想像してください。
質問の第3点目は、県職員等の島しょ部勤務についてであります。
先日小豆島の高校を視察いたしました。小豆島にある二つの高校の一校では、およそ50人の教職員が勤務されていて、そのうち30人くらいは高松から船で通勤していると聞きました。毎日船で通勤とは大変だなと思い頭が下がりましたが、海がしけた時、欠航や遅延は毎年数回あるだろうし、その時、生徒達はどうしているのかと疑問が沸いてきました。また、当然、この先生たちは、平日の夜や土曜、日曜日など休日には、島にいないわけで、緊急時に学校はどう対応しているのだろうか、また、先生方は島のことをどれだけ知っているのだろうかと、少し不安を覚えました。小豆島だけに限らず、島しょ部には、その地理的要因から、その島独特の風習やしきたり、文化などが形成され、比較的人間関係は濃厚で、結束力が強いと言われています。そのような中で、外から来た先生が、例えば、授業で、生徒たちに、島の歴史や伝統文化を大切に守っていこうなどという話をしても、どれだけ子供達に伝わっているのか疑問を覚えます。私は、学校教育は、その先生の全人格をもって行うべきだと思っており、その根底には人や地域への愛情が必須であります。
いま、秋祭り、休日ともなれば県内各地区で鐘や太鼓の音が響いています。父兄や町の人たちに囲まれて、子供達も着飾りお化粧をして太鼓を生き生きとたたいています。学校とはちがう顔があります。そういう意味で、先生自らが、島の住民になり、子供達と同じ空気を吸って生活することで、初めて子供達に教えられるのではないかと考えます。
また、全国で有数の島しょ部を有する本県の職員も同様であります。島しょ部の活性化や、定住人口の増加対策などを考えるにしても、まず隗より始めよです。外から見るだけでは分からないことがたくさんあると思います。我々は、よく「国は地方の実情が分かっていない」などという批判をしますが、それと同じ構図が島しょ部との関係にあてはまるのではないでしょうか。島に住み、島の人と同じ空気を吸い、島への愛着心が芽生えてこそ、初めてその島のことを本気で考えることができ、また、住民の信頼が得られるのではないかと思います。さらに、災害等への対応など危機管理の点からも、職員が島に住むことは非常に重要であります。特に、予知ができない地震などによる災害が発生した場合、職員が島に住んでいれば、迅速な対応が可能となります。
私は、公に奉仕する公務員たる香川県の職員あるいは教員である以上は、小豆島をはじめ、県内に多くある島しょ部のことも、よく知っておく必要があると思います。そこで、県の職員や教員には、必ず島しょ部に勤務する可能性を採用時の雇用条件に入れ、また、その島しょ部勤務の間は、職員や教員が原則その島に住むように、住居の整備などの問題についても工夫をすべきだと考えますが、知事と教育長はどう考えておられるのか質問いたします。
質問の第4点目は、県産木材の利用促進についてであります。
10月1日に、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されました。国や地方公共団体が整備する公共の用に供する建築物については、柱や構造材はもとより、内装材についても、木材の利用に努めなければならないことを、法律によって義務付けたもので、これにより、国産材の利用に大きな弾みがつくものと期待されます。
今後、国の基本方針に基づき、各省庁が所管する公共建築物ごとに、木材の利用の促進のための計画が定められるとともに、建築基準法等の基準の見直しなども行われる予定であり、また、各都道府県においても、国の基本方針に即した、各県独自の方針を定めることができるものとお聞きしております。
県産木材の利用を促進することは、県内の森林整備、とりわけ間伐材の搬出の増大につながりますし、地球温暖化の防止等にも貢献するなど、多大な効果が期待されます。
そこで、県においては、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に基づく県の方針を、いつまでに、どのような内容で策定していくのか、質問いたします。
また、併せて、木材利用を進めていくためには、公共建築物での利用促進はもとより、県産ヒノキ材のPRを積極的に行っていくことが必要であります。
昨年、森林・林業関係者によって、毎年11月11日を「かがわ 山の日」とすることが宣言されました。本年も、県植樹祭やシンポジウムの開催、ボランティアによる竹林の伐採等、様々な森林づくりに関するイベントを予定していると聞いていますが、これらのイベントの開催に併せて、県産ヒノキのPRも今まで以上に積極的に行う必要があると考えます。
そこで「かがわ 山の日」関連イベントとして、県産ヒノキのPRについては、どのようなものを考えているのか、質問いたします。
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