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平成23年6月県議会定例会一般質問新田耕造オフィシャルウェブサイト

2011.7.22 category : 議会報告

平成23年6月県議会定例会一般質問(質問日: 平成23年7月 )通算16回目

3月11日14時46分18.1秒 東日本大震災の最初の地震がおこりました。その後次々と津波が東北地方の沿岸を襲いました。

その時我々はこの議場で一般質問の最中でした。私がこの壇上に立って質問を始めたのが15時過ぎでありました。私が質問をしていたその瞬間にも多くの悲劇が起っていたのかと思うと改めて「大自然のなかで生かされている我」を感じるのであります。改めて被災者の皆様にお見舞いと哀悼のまことを捧げるものであります。

さて管政権、能力不足は与野党が認めるところですが、いずれ歴史が判断を下すことです。今我々の眼前に繰り広げられている政治劇は悲劇か喜劇かわかりませんが、震災を人質にしてその場限りの対応に終始し、自らの延命だけをはかっている姿は醜悪であります。諸外国であればとっくに暴動か革命かゼネストが起こっています。同じ政治家の端くれとして本当に情けなくて、恥ずかしい限りです。

民主党政権になってからの統治意識や国家意識の欠如は目を覆うばかりです。市民があって国民のない政治感覚は今のタイミングの我が国にとって致命的であります。国家とは何か、統治とは何かを今一度勉強してもらいたいものであります。

ギリシアの哲学者、アリストテレスはその政治学のなかで国家は一つの共同体であり、共同体はいずれも何かよきこと(善)のために出来ている。そしてあらゆる善の最高最上の共同体が国家である。また「国家は自然発生的な存在であり、人間は自然の本能において国家を持つ動物である。国家を持たない者があるとすればそれは人間としての劣性のもの(野獣)であるか、あるいは人間以上のなにものか(神)であるとまで言って国家の価値を最上級においています。

さて、政治はひとです。人の心です。ドイツの政治学者マックスウエーバーが「職業としての政治」の中で、国家は正当な暴力行使という手段に支えられた人間の人間に対する支配関係であり、支配者に人々が服従する内面的根拠を三つ挙げています。日本の政治制度はそれをそのまま包含しているといえます。第一には永遠の過去がもっている権威、昔からの習俗が神聖化された伝統的支配 これは天皇制です。第二はある個人に備わったカリスマ性にもとずく支配 これは将軍や首相にあたります。第三は合法性による支配、合理的に制定された法律にもとずいた支配→律令制度、武家諸法度、憲法、官僚の支配等々です。

日本の天皇制を含めた統治システムは、我々日本人の先祖からの知恵であります。「時の権力者も出自と伝統から頭を下げざるを得ない存在を置く」という知恵であります。
いくら権力や金銀、財宝があっても人は従ってくれません。人は頂点に立った時、自分で自分を正当化はできません。自分を超える存在から自分を正当化してもらう必要があります。そこに天皇からのお墨付きという権威が必要になります。この慣行が、現在まで続いた天皇制の所以であろうと言われています。鎌倉、室町、江戸、明治、大正、昭和、平成とこの伝統は続いています。
それは、国の統治の源泉である権威と権力を分離し、人々の伝統的な皇室への尊敬に由来する「権威」は天皇に、そして「権力」は時の将軍や首相に委ねる、という世界に誇る政治体制であります。天皇は武力や権力を持たず伝統と文化で尊敬を得る立場に在り、実際の統治行為は将軍や首相に任せ、政争には介入しない。たとえ、政変があり体制が変わろうとも天皇を中心に国はまとまり平和と安定が続くということのようです。まさに今がその安全弁が役目をはたしている時代といえます。

それでは質問に入ります。

質問の第1点目は、全国育樹祭の開催誘致についてであります。平成21年6月議会でも質問をいたしました。
東日本大震災の被災地では、今なお、多くの方が厳しい避難生活を強いられていますが、天皇・皇后両陛下をはじめとし、皇室の皆様方が避難所を訪問されると、避難者の表情がパット明るくなったり、尊崇の念をわかせるその立ち居振る舞いがテレビの画面を通して何度も報じられました。このような厳しい状況の中でこそ、やはり、日本人の心の支え、精神のよりどころとなるのは、皇室の持つ伝統の力に負うところが大きいことを再認識させられました。
さて、全国育樹祭は、昭和51年の岐阜県での開催以来、全国植樹祭において、天皇・皇后両陛下が植樹された木を、皇太子・同妃両殿下がお手入れされたり、参加者による育樹活動等を通じて、国民の森林に対する愛情を培うことを目的に、毎年秋に国民的行事として開催されています。
昨年は、10月に群馬県で開催され、県内外から約6,000人が参加し、森林の手入れを通じて緑を育て、次の世代に引継ぐことの大切さを伝える祭典として、大きな成果を上げました。
第35回となる本年は、11月20日に奈良県で開催され、また、24年度は静岡県、25年度は埼玉県での開催が内定していると聞いており、これらを除いて、植樹祭のあと育樹祭開催が決定していないのは、本県を含めてわずか9都府県のみということであります。本県では、昭和63年に、県立満濃池森林公園において、全国植樹祭が開催されました。それから既に22年が経過し、当時植樹したヒノキなども、枝打ちなどの手入れの時期を迎えています。知事が得意とするトップセールス力を大いに発揮し、今、開催誘致に手を上げれば、早ければ、平成26年の開催も可能です。
また、全国育樹祭の開催に当たっては、3億~4億円程度の費用が必要であるとお聞きしています。財源は、平成元年に5億円で創設し、現在も3億2千万円余の残高がある「全国植樹祭記念香川県緑化推進基金」や、4億円余の残高がある「森林整備担い手対策基金」を活用することで県民の理解も得ることができると思います。
緑を育て、次の世代に緑を引き継ぐ機運の醸成を県下全域に広めることはもとより、皇室の来県によって、県民の表情を明るくし、夢と希望あふれる香川をつくることが、知事の役目だと思います。開会式は、NHKで全国放送されますし、全国からの多くの来訪者に、県下の観光地に宿泊していただき、また、こんぴらさんなどの観光地を訪れ、土産物を買っていただければ、大きな経済波及効果も期待できます。
そこで、全国育樹祭の早期開催誘致について、知事はどう考えているのか、質問します。

質問の第2点目は、本県の企業振興政策についてであります。
本県では、これまで、糖質バイオやナノテク等の先端分野において、産学官連携による研究開発を積極的に推進してきたところであります。先の2月議会での知事答弁によると、これまでに、血糖値の上昇を抑える効果がある、希少糖D-プシコースの特定保健用食品の許可申請や、希少糖入り甘味料の製造工場の県内進出決定、ナノピンセットの製品化などの成果が生まれきており、今後は、これまでの研究開発成果を生かし、事業化を重視した取組みを進めていくとのことであります。しかしながら、事業化に当たって、その中心的な役割を担っているのが県外の企業であるということを聞いて、これまで多額の県費を投入し、積極的に支援してきたのは、一体何のためだったのかとも思わずにはいられません。申し上げるまでも無く、産業振興策における県の役割とは、県内の企業が活動しやすい環境を提供しサポートすることであります。産学官連携による研究開発についても、県内企業の振興という効果がついて来なければ、本当の意味での成果があったとは言えないのではないでしょうか。
私は、以前から、本県の産業振興のために重要なことは、新規の事業発掘も必要ですが本県の特性や風土を生かし、今元気のある企業をどれだけより元気にできるかということだと考えています。最近ではある造船グループが、わが多度津町にグループのデータバックアップセンターを建設するとの話もあります。古くから海上交通の大動脈である瀬戸内海のほぼ中央に位置する本県では、臨海部を中心に、造船、化学、石油・石炭、金属等の基幹工場が立地しております。また、瀬戸内の少雨、乾燥、穏やかな気候は、造船や橋梁製作などの大型重量物の屋外作業にも適しています。
これを踏まえ、平成19年11月議会において、瀬戸内海の地の利を活かした企業の立地策について質問しましたが、その後、どう取り組んできたのでしょうか、知事に質問します。
また、平成19年度に策定した「香川ものづくり産業振興計画」では、5年間で、新規・増設の企業立地100件と、新規雇用者数2千人を目標としていましたが、その進捗状況と今後の取組みについても、併せて質問します。

質問の第3点目は、県立高校校舎への県産木材の利用についてであります。
「亀城のほとり富士のもと われらがきそふ学び舎は げに清新の若人が 偉大の夢を抱くところ」
我が母校丸亀高校の校歌を口ずさみますと、校訓「終始一誠意」のもと、柔道に、柔道に一生懸命打ち込み、多くの友情を培った青春時代が、つい昨日のように、脳裏によみがえります。
丸亀高校のこの「学び舎」が、全面的に建て替えられることとなり、この5月には基本設計が終了したと聞きました。丸亀高校は、明治26年に創設され、これまで、津島寿一先生や猪熊弦一郎画伯はもとより、卒業生は3万9千人を超える、歴史と伝統ある高校です。校舎設計に当たっては、この伝統に恥じない、多くの卒業生に自慢できる、そして、現役の生徒が安心して学ぶことのできる校舎設計にしていただきたいと、心から期待するものであります。
さて、丸亀高校だけではなく、現在、県立高校においては、老朽校舎の改築が、継続的に進められております。今世紀前半の発生が懸念される南海地震等に備え、その耐震性を確保するという意味においても、重要な事業でありますが、設計に当たって、一つ提案があります。
校舎内部の廊下、壁面、教室、玄関ホールなどへの、県産木材の積極的な活用です。県下の小中学校の校舎では、一部で地元の木材を積極的に利用しているところもあり、教員から、「木材には癒し効果があり、生徒が精神的に落ち着いて勉強するようになった」という報告もあるようです。実際、私も、林業活性化議連の視察で、5月末に熊本市の益城(ましき)中央小学校にお邪魔し、ここは木造校舎ですが、入った途端に木の香りがして、その癒し効果を実感してきました。また、夏は涼しく、冬は暖かい、省エネ効果もあります。木のぬくもり、温かみのある学習環境で、これから日本の未来、香川の将来を担う生徒たちに勉強をさせてあげたいと強く思います。
幸いにも、まんのう町をはじめとし、県内では、地元の森林・林業関係者が長い年月をかけて育ててきた「ヒノキ」が、木材としての利用期を迎えております。
そこで、県立高校の校舎改築に当たって、その建物に県産木材を積極的に利用することはできないか、教育長に質問します。

質問の第4点目は、公立高校入試の自己推薦選抜制度についてであります。
先日、県教委から来年の公立高等学校入学者選抜要綱が発表されました。これを見ると、引き続き、自己推薦選抜が実施されるようであります。本県の公立高校入試においては、生徒の受験機会の複数化、学校選択幅の拡大、特色ある学校づくりの推進を目的とし、平成21年度から、全ての学校・学科において、自己推薦選抜制度が実施されています。私は、この制度、特に普通科での実施については多くの問題があると考えており、その見直しについて、先の2月議会の一般質問でも取り上げたところであります。
前回も申し上げましたが、私が最も問題だと思っている点は、自己推薦選抜で不合格となった生徒の多く(22年度入試であれば85%)が、3月の一般選抜で、再度同じ学校を受験しております。要するに一般選抜で合格する生徒を先に合格させるだけの制度になってしまっており、県教委が4月に発表した検証結果においても、高校から、同様の意見が出ており、必ずしも「学校選択幅の拡大」につながってはいません。
一方の中学では受験という大切な時期の教室で自己推薦選抜の合格者と不合格者が混在し、学習意欲の格差を生んでしまうといった懸念もあります。
また、入学定員に対し、自己推薦選抜の合格者枠が少ないことが、従来の3月一回の試験であれば合格者である多くの生徒に不合格というレッテルを貼ることになります。
県教委が昨年7月に実施した高校1年生やその保護者へのアンケート結果では、自己推薦選抜を受験しなかった理由として、「競争率が高くなりそう」や「不合格時のショックが大きい」というものがそれぞれ2~3割ほどあり、合格者枠の少なさが「受験機会の複数化」を阻む要因ともなっています。
当然、県教委としてもこれらの問題は承知していると思いますが、そのような中で、なぜ来年度も自己推薦選抜を実施するのでしょうか。実技や専門的な適性をより重視する、音楽科や美術科などの専門学科や、将来の進路に対する意欲などをより評価する、農業科や看護科などの職業系学科に絞って実施するのであればまだしも、同じような形で続けるのであれば、そのメリットが私には理解できません。2月議会において、教育長から平成21年度入学生が卒業するまでの概ね3年間の検証が必要であるとの答弁がありましたが、悪しき制度は早急に見直すべきではないでしょうか。
そこで、改めて、自己推薦選抜制度の見直しについて、今後どう取り組んでいくつもりなのか、教育長に質問します。

質問の第5点目は、警察行政についてであります。
わが国の警察においては、交番とは別に、駐在所という制度があります。駐在所の多くは、警察官が家族ととともに居住し、その地域に溶け込んで、住民との交流を持ちながら業務を行っています。以前から申し上げていますが、警察行政においては、犯罪の抑止が一番重要なことであり、そういう意味で最も効果が高いのは、警察官がそこに居ること、いわゆるプレゼンスであります。
しかしながら、最近では、駐在所に行っても、警察官が本署用務のため、不在の時がしばしばあるようです。聞くところによると、応急的ではありますが、本署の警察官の穴埋めをする場合があるとのことです。当たり前のことですが、駐在所に警察官がいるからこそ、犯罪抑止力が働くのであり、まさしくマンパワーが必要とされているのであります。私は、警察官の定数が充足できていないことがその原因の一つではないかと考えます。
そこで、現在の警察官の定員に対する充足率はどうなっているのか、あるいはその定員は適正と考えているのか、また、警察署の統合に伴い、駐在所の必要性が高まる中で、採用条件に駐在所勤務を加え、優秀な人材を一人でも多く採用していく必要があると考えますが、人材の確保にどう取り組んでいくのか、警察本部長に質問します。
また、住民の安全安心の確保のためには、ITをもっと活用すべきであります。仏作って魂いれずではありませんが、私は、庁舎(ハード)だけでなくソフトを充実させることが必要だと考えています。
例えば、多度津町の住民が警察に電話した場合、所轄の丸亀署の職員が地理的に疎いため、なかなか場所が分かってもらえないという話をよく耳にします。警察署の再編により管轄エリアが広くなった地域はどこでも同じだと思いますが、例えば、希望者が事前に登録しておけば、電話をかけたときに場所が特定できるようなシステムを固定でも携帯でも備えることにより、住民の安心感は格段に高まると考えます。
他にも、2月議会で質問した性犯罪前歴者へのGPS携帯の義務付けなど、一歩踏み込んで、ITの活用を検討すべき課題はたくさんあります。
そこで、警察署の統合で管轄エリアが広域化する中で、これまで以上に住民の安全安心を確保していくためには、積極的にITの活用を図っていくべきと考えますが、これにどう取り組んでいくのか、警察本部長に質問します。

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