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平成20年6月県議会定例会一般質問新田耕造オフィシャルウェブサイト

2008.7.22 category : 議会報告

平成20年6月県議会定例会一般質問(通算4回目)

自由民主党議員会 新 田 耕 造
アフリカの話からであります。
アフリカのサバンナに行けば、たくさんの動物に会えます。特にシマウマの群れは、サバンナの中でも目を引く存在だそうであります。いつ見てもシマウマの群れは、若々しさを保っております。シマウマの縞模様は、群れがライオンなどに襲われた時、群れ全体がパニックになりシマウマの逃げた方向を攪乱させる効果が有るようです。そのため老いたもの、病気やハンデイキャップのあるものが逃げ遅れて彼らの餌食になります。
従って、いつ見てもシマウマの群れは若々しく元気なものだけで構成されているのです。表面は牧歌的な風景でも一歩踏み込むと弱肉強食の冷厳な世界です。今、世界を席巻しているグローバル化と称する土地に執着しない狩猟民族の発想を連想させます。
一方、われわれ日本人のような土地に執着する農耕民族は、田植えなどで必ず共同作業が必要であり、地域の連帯感や敬老精神、長幼の序なども醸成されます。これらを凝縮したものが我が国の文化や伝統でありその象徴として国旗、国歌、これは源をたどれば聖徳太子や古今和歌集などにつらなる長い歴史の感性として我々が脈々と受け継いできたものであります。
これらを昨日今日の歴史の中で短絡的に総括する考えには賛成出来ません。
個性なきグローバル化は世界のきみん棄民への道であります。
さて
私は、県議会で一年が経ちました。一年生のくせにという批判を承知でこの短い県議経験から県政を、一言で言えば、地域手当導入にみられるように「国の出先機関」か「天下り先」かと疑いたくなるような国まかせの「独立心なき県政」であります。政治とは突き詰めると古今東西、予算付けであります。その中に考えや哲学が見えるものであります。
平成19年度の決算は55億円強の黒字で評価するものの、しかし、平成20年度予算では、県単独の医療費支給事業の見直しを行い、1億円程度の歳出削減を図ったかと思えば、同じ医療福祉分野で、莫大な予算の県立中央病院の建設を決めるなど、浅学非才の私には、知事の政治姿勢に哲学が発見出来ません。
昔、旧大蔵省では、新人研修で税と議会について最初に教えたそうです。イギリスのジョン王がフランスとの戦いのため新たな課税を考えた。貴族たちは「王権に制限をかけるマグナカルタ(大憲章)」を認めさせるため議会を組織して国王に対抗した。これが議会の発祥である。税の問題は一歩間違うと「反乱がおこる」、議会との対話の重要性を説いたと思われます。議会は税を議論するために出来たといっても過言でありません。
以上を踏まえて知事、警察本部長に質問をさせて頂きます。
質問の第1点は、南米への訪問と交流の促進についてであります。
その第一は、ブラジル日本人移住100周年記念訪問団の成果についてであります。
先月、皇太子殿下ご臨席の下、サンパウロにおいて日本人ブラジル移住100周年記念式典が開催され、本県からも知事、議長、議員などが出席しました。併せて、訪問団は、ほく北はく伯ベレンや、ブエノスアイレス等を訪問しましたが、南米に移住された方々のご労苦に想いをいたすとき、今回の訪問は大変意義深いものであったと思います。
そこで、この度の南米訪問の感想、成果についてお尋ねします。
さらに、今回は、中東のドバイを経由したようですが、この世界で最も急速に発展している街について、どのような印象を持たれたか、あわせてお尋ねします。
その第二は、南米県人会との今後の交流についてであります。
今回訪問されたブラジル、アルゼンチンを含め、現在、南米には五カ国に六つの香川県人会がありますが、いずれにおいても二世、三世へと世代交代してきており、それに伴い、本県と県人会との交流も先細ってくるのではないかと懸念されます。一方で、ブラジルは、BRICsと呼ばれているように、中国、ロシアなどと並んで資源大国として重みを増すとともに、近年、目覚しい経済発展を遂げており、日本にとって、経済的にも重要な国になってきております。
南米の県人には、各分野で活躍されている方も多く、県人会との間でこれまで培ってきた繋がりは本県にとって大きな財産であります。そこで、今後、南米の県人との交流をどのように促進し、県勢の発展につなげていくのか、知事のご所見をお伺いします。

質問の第2点目は、新たな道路整備のあり方についてであります。
道路特定財源の暫定税率の失効を契機として、道路特定財源の一般財源化が議論されております。政府が5月13日に閣議決定した「道路特定財源等に関する基本方針」では、「道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し2009年度から一般財源化する」とされております。
私は、道路特定財源の一般財源化は大賛成であります。道路特定財源は昭和28年、またその暫定税率は昭和48年、石油ショック後の狂乱物価抑制、総需要抑制のため導入されたといわれております。時代は変化します。時代の要請も変化します。ある特定のものだけに使える財源が半世紀以上も続くのはどう見ても長すぎます。その時代の全ての社会の要請の中で、他の予算と同じ土俵で道路も優先順位付けをすべきであると考えております。今回の道路特定財源の一般財源化が、地方の公共交通機関の衰退をもたらした車中心の社会、道路整備中心の街づくりのあり方を見直す良い機会ではないかと考えております。もちろん、本県も、車なしには生活しにくい社会になっていることは間違いありません。しかし、車に対する国民の意識や環境は変わりつつあります。車を運転する者の高齢化、地球環境問題への関心の高まり、また、最近の原油価格の高騰などいろいろな要因により、国民の車離れの傾向が現れております。特に、最近の原油価格の高騰の状況をみると、私たちは、この先、化石燃料価格が下がらないことを前提に物事を考えていかなければならないと思います。
私は、近い将来、高齢運転者の問題、地球環境問題、エネルギー問題などの影響で、現在のような車中心の社会から、公共交通機関などへと、県民の求める社会像が変化するのではないかと考えております。そう考えると、今後、新たな道路整備のあり方を検討するに当たっては、有料無料を問わず全ての既設道路の有効利用だけでなく、鉄道や電車バスなどの公共交通、自転車などをすべて含めた「総合交通体系」を踏まえ、地域の特性、将来像を勘案した考え方の中で議論すべきではないかと考えますが、この点について、知事のご所見をお伺いします。
質問の第3点目は、道路の命名権制度(以後ネーミングライツ)の導入についてであります。
厳しい財政状況の中、多くの自治体で公共施設などの命名権を付与する制度であるネーミングライツの導入が活発化しております。ネーミングライツは、スポーツ施設や文化施設などに、企業名や商品ブランド名を冠する権利をスポンサー企業に与えることで契約料を得る制度であります。この制度により、スポンサー企業にとっては、認知度やイメージの向上などのメリットがあり、行政など施設所有者にとっては、新たな収入を得ることで財政負担を軽減することができるなどのメリットがあります。既に我が県においても県営野球場や県民ホールなどに導入されております。
最近の導入例で少し変わった例をみますと、スポーツ施設や文化施設のほか、神戸市では、バス停に企業名や店舗名を併記する「バス停ネーミングライツ制度」を導入しております。また、新潟県では、県道の通称名のネーミングライツを導入することとし、現在、県内有数の観光道路二路線について、スポンサー企業を募集しております。
道路特定財源の一般財源化により、今後、道路予算を取り巻く環境は厳しいものが予想されます。一方、道路施設の老朽化に伴う補修、改修費の増加が見込まれる中、これまで整備した道路を今後も有効に活用していくためには、道路の維持管理予算の確保は重要な問題であります。私は、この道路の維持管理予算の収入源を考えるとき、国にお願いをするという受け身ではなく、県自らも財源の発掘に努力しなければならないと考えます。
私の地元では、ある企業の社員がその企業と関わりの深い沿線道路のゴミ拾いを黙々と行っているのを目にします。その他いろいろな企業もいじらしいほどの努力をして地域社会に溶け込もうとしております。このような企業に、新たな目に見える地域貢献策を提供する方法として、当該企業周辺の道路整備費の一部を負担していただく、すなわち、企業側からすれば、「自社がよく利用している道路の維持管理を支えていこう」という意欲に基づいてネーミングライツに参加する。行政側も、道路を共に支えてくれる企業の地域貢献の意欲に感謝し、ネーミングライツを付与するという考え方で、道路のネーミングライツを導入してはどうかと考えるのであります。知事のご所見をお伺いします。

質問の第4点目は、県産品の商標戦略についてであります。
本年2月県議会において、台湾における讃岐の商標問題についての質問をいたしました。その後、本年5月28日には川池観光交流局長を訪台させ、台湾当局に要望書を提出するなど、最近の県の動きに対し、十分とは言えませんが御礼を申し上げます。また、我が自由民主党議員会では6月25日、この問題の権威である協和特許法律事務所の黒瀬副所長をお招きし商標問題について研究したところであります。
さて、県産品の海外への販路開拓は、県も海外見本市に参加するなど本県農水産業の振興にとっても重要な取組であり、継続的な輸出につながるよう積極的に取り組むべきであります。これに関し、本定例会におけるわが党の篠原議員の代表質問に対して、知事から現在の取組状況や販路開拓と商標登録問題への対応について、積極的な答弁がなされたと理解しております。また、7月8日・9日の経済委員会では、わが党の大山議員の質問に対し部長答弁で、全庁的取り組みを行う姿勢を表明したことは一歩前進と評価いたします。
言うまでもなく、県産品の販路開拓や輸出を促進するに当たり、香川県産の農水産物であることの差別化とブランド化を図ることは重要であります。差別化やブランド化を図るためには、消費者に好まれる高い品質の確保に努めることはもちろんですが、その高い品質に裏付けされたブランドイメージ、例えばエルメスやルイ・ビトンといったイメージを確立する努力が必要であります。この意味では、わが県の「K.ブランド」という取組は、企画に無理があり十分とは言いがたいと思います。そこで、昨今注目されているのが海外商標であります。
海外商標は、「誰がどこで作ったか」という出所表示機能や品質保証機能があり、確立されたブランドイメージを表すもので、海外の消費者から選んでもらう為と共に、高付加価値化を実現するための戦略として、海外商標を活用することは有効であると思います。しかし、香川や讃岐といった地名を使った商標を登録するためには、様々の問題があります。
そこで、私が注目しているのが、山形県の取組であります。山形県では、世界市場において山形県産の農林水産物や食品のブランドイメージを確立するため、「山形県産農林水産物・食品輸出促進用シンボルマーク」を決定し、これを台湾、香港、中国、韓国の四カ国で商標登録を県がし、一定の手続のもと県産農林水産物や食品を輸出しようとする者に使用を許可するという取組を行っております。このシンボルマークは、山形県産農産物の統一イメージである「ペロリンマーク」と「おいしい山形」などを文字と絵で表記したもので、「地名」商標登録の難しさを克服した良いアイデアだと思います。本県でも、山形県の例のような輸出促進用シンボルマークを作成して、海外での商標登録を踏まえて、県産品の販路開拓や輸出をしようとする者に提供し、輸出促進の一助としてはどうかと考えますが、知事のご所見をお伺いします。
また、まだまだ商標などの知的財産権の問題は県内産業の皆さんには一般的ではありません。今後、県産品の海外展開をより積極的に本気で進めるため、海外商標の活用や知的財産権を巡るトラブルの予防などについて輸出をしようとする者の相談を受ける窓口を早急に庁内に設置し、ホームページなどで案内することは最低限、県の仕事と考えますが、この点についても、知事のお考えをお伺いします。
質問の第5点目は、警察署の再編整備についてです。
県警察が、日々県民の安全と安心のため活動をして頂いていることに一県民として感謝いたします。
私は、先日、善通寺署の視察に行かせていただきました。その時に一抹の不安を感じましたのでこの点につきまして質問いたします。平成19年9月議会でも質問させていただきましたが、再編整備により警察署がなくなった地域「多度津」の住民の複雑で不安な思いを聞いていますので、再度、質問させていただきます。
県警察は、「大きく変化した治安情勢に的確に対応し、県民のための警察活動の更なる強化を図るため」として、平成14年に「警察署の再編整備計画」を策定し、段階的な再編整備を行い、かつての16警察署から、現在、13警察署体制になっております。我が地元の多度津町でも、多度津警察署が丸亀警察署と統合され、多度津交番となっておりますが、多度津町のように再編整備により警察署がなくなった地域の住民は、治安が悪化しているのではないか、また、110番しても土地勘のない対応で話がスムースに通じず警察署があったころのように迅速に対応してもらえていない、などの不安や不満を抱えております。
改めて申し上げるまでもなく、警察の機能には、犯罪の予防や治安の維持などの行政警察活動と、既に起こった犯罪の捜査や犯人逮捕などの司法警察活動があります。そのうち、既に起こった犯罪の捜査については、再編整備による機能強化が奏功すると思われますが、犯罪の予防や治安の維持については、警察署がそこにあるということ、警察のプレゼンスが犯罪の抑止につながるのではないかと考えますと、再編整備はむしろマイナスに作用するのではないかと思います。そういった意味で、警察署の再編整備は、地域住民の不安感を除去するという視点が欠けているように思われます。
また、再編整備計画では、再編整備の必要性の背景にある警察部内の課題として、24時間体制が前提の勤務などにより小規模警察署の過重な勤務実態が想像されますが、警察は、本来、他部門よりマンパワーを必要とする組織であり、省力化や合理化を効率性だけで議論できる組織ではないと考えるのであります。振り込め詐欺、新たなネット犯罪、国際化する犯罪に対し県民の警察に対する期待や要望がますます高まっている中、治安維持に対する県民の付託に応えるためには、やはり相応のマンパワーが必要であります。警察官一人当たりの負担人口をみると、日本は、欧米に比べて負担人口が多く、さらに、本県は、全国平均に比べて多いという状況であります。大変厳しい財政状況、団塊世代の大量退職という現実を踏まえ、マンパワーの確保策や再編整備のあり方をより明確に関連付けて議論すべきではないかと考えるのであります。いったい警察組織として今後の人員政策をどう考えているのか、旧来の16警察署体制を維持するなら何人の人員が必要であったのか、人員増は必要ないのか、警察本部長のご所見をお伺いして、私の質問を終了させていただきます。

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