平成21年6月県議会定例会一般質問新田耕造オフィシャルウェブサイト
平成21年6月県議会定例会一般質問(質問日:平成21年7月8日)通算8回目
近々、衆議院選挙が行われます。その結果、我が自民党に厳しい結果が予想されます。いつも選挙が近くなると色々なあだ花がマスコミを通じて咲きます。そして、昨今の国会の動きを見ていて思うのでありますが、政治家が世論調査に右往左往するという本末転倒の現象が散見されます。世論調査はあくまでも結果でありその原因は自分達だという自覚がないようです。あたかも自分の影を見ながら前進しているようなものです。
また、本来なら衆議院選挙というのは国の有り方、例えば憲法や、外交、安全保障など国家の基本問題を国民に問う選挙でなければならないのにそうなっていないと思うのであります。
そういう意味で、最近日本史を読み返してみて大変示唆に富んだ時代が昭和の初めにありました。
昭和2年3月14日、昭和の金融恐慌のきっかけは衆議院予算委員会の片岡蔵相の失言から始まり、そして新興の鈴木商店の倒産、株式の暴落、台湾銀行救済緊急勅令を枢密院が否決、それを受け若槻内閣総辞職、田中義一内閣発足、銀行の取り付け騒ぎ、それに対し高橋是清蔵相はモラトリアム(支払い猶予令)実施、その後任のみ三つち土ちゅう忠ぞう造蔵相(香川県選出)や、井上準之介日銀総裁による銀行整理、企業や金融機関への公的資金注入、などが行われました。これら一連の流れはどこか最近の流れに似ているようですがここからが違います。これら電光石火の対応は野党となった若槻前総理、片岡前蔵相らが自らのメンツや利害を超えて国家的課題処理を何よりも優先するという姿勢があって可能であったようです。
しかし、田中内閣退陣、その後、金解禁と徹底した超緊縮財政の浜口内閣、井上蔵相による不景気とデフレ、その後、犬養内閣発足、高橋蔵相による金輸出禁止による景気回復と回復後の緊縮財政。 他方、張作霖事件、統帥権干犯問題、満州事変などが有ったなかでも軍事予算削減は浜口、犬養、斎藤内閣でも一貫しており、これが軍部の不満の鬱積や農村と都市との格差問題など複合要因による社会不安が増しておりました。また、帝人事件など一種の言論のテロともいえる疑獄事件もあり、既存の政党や政治家、財界人にたいする誹謗中傷が喧伝されました。この過程で新聞ラジオの影響も大でありました。
そして度重なるテロの勃発、昭和5年11月14日浜口首相狙撃。昭和7年2月9日、血盟団事件で井上準之介、昭和7年5・15事件で犬養毅、昭和11年2.26事件で高橋是清、斎藤まこと実など重鎮政治家を失いました。
昭和11年2月10日、第19回総選挙は、高橋是清ら軍縮支持派が第一党になり高橋を中心とする挙国一致の大連合が模索されていました。その直後に2.26事件があり、日本は軍部を抑えられる政治家達を失い、その後は軍部の独走を許すことになりました。もし高橋是清等重鎮が生きていたならと考えると政治とはつくづく人物なのだなあと再認識いたします。彼らが毀誉褒貶を顧みず正に身命を賭して国家、国民のため信念を貫いて戦ったという崇高な事実の重さを感じると同時に暴力や言論のテロが社会に与える影響の大きさを感じるものであります。
そこで現在の政治情勢について2、3の疑問点を申し上げねばならないと思うのであります。
まず民主党の政局第一主義です。これには国民生活が置き去りにされているようで「国民の生活が第一」というスローガンの空虚さを覚えます。
例えば昨年、一昨年大きな問題となった年金問題では政府与党や社会保険庁の怠慢をあげつらい国民に不安感を与えただけで進展が見えません。本来年金問題は与野党で政治問題にするのではなくお互いが協力して解決するべき問題であります。この問題の本質は年金制度その考え方にあります。即ち「年金が必要な人は必要書類を持って申請しなさい」、「色々な間違は申請の時に直せばいい。その資料や証明は申請者本人がしなさい」という申請主義の考え方を改めなければなりません。あとは負担と給付を決め財源を決め社会保険庁を効率よく国民のために働くサービス業にするだけです。
また、安全保障の問題でも小沢前代表の国連至上主義には疑問を覚えますし、集団的自衛権の問題はどう党内コンセンサスを取るのでしょうか。
鳩山代表の故人名義の献金問題はどう考えてもおかしな話です。単なる事務処理上の問題では無なさそうです。組織的な処理が垣間見えます。個人攻撃は控えたいのですが「政治と金の問題」に端を発し、政治改革で小選挙区制と政党助成金の導入を決めた細川内閣の官房副長官であった方ですからもう少し責任ある説明をしてほしいと思います。
民主党政権になるとかつて北朝鮮による拉致を認めなかった党や人が連立で政権に参画した時どうなるのか、間違ったシグナルを北朝鮮に送ったりはしないのか。まだまだありますが以上の疑問点を提起した上で以下の4点について知事に質問をいたします。
質問の第1点目は、全国育樹祭の開催誘致についてであります。
本年2月議会と去る6月29日の環境建設委員会において議論があった全国育樹祭は、昭和52年の岐阜県での開催以来、全国植樹祭において、天皇・皇后両陛下がお手植え、お手蒔きにより成長した木の枝打ちなどを、皇太子殿下・同妃殿下によるお手入れや、参加者による育樹活動等を通じて、国民の森林に対する愛情を培うことを目的に、毎年秋に国民的行事として開催されています。
昨年は、お隣の愛媛県で「育てよう 緑あふれる日本の未来」をテーマに開催され、内外から3,300人が参加者し、森林の手入れを通じて緑を育て、次の世代に引継ぐことの大切さを伝える祭典として、大きな成果を上げました。
本年は、10月4日に長崎県雲仙市で開催されますほか、22年度以降は、群馬県、奈良県、静岡県で、順次開催が内定しており、これら、開催の内定している県を除けば、開催されていないのは本県を含めてわずか10都府県となり、中国・四国地方では、岡山県と本県のみとなります。
今後、平成25年から35年までの10年間に、本県で、全国育樹祭を開催する必要があるわけですから、この際、1年でも早く、本県で開催し、皇太子をお招きするという県民に明るい希望を与えてはどうかと思うのであります。
昭和63年に、県立満濃池森林公園で開催された全国植樹祭から、既に20年が経過し、当時植樹したヒノキなども、枝打ちなどの手入れの時期を迎えております。また、知事が推進している新世紀基本構想の後期事業計画、「みどり・うるおい・にぎわい」の創造も、来年22年度には最終年度を迎えます。県は、森林再生方針を策定し、森林整備に力を注ぎ、徐々に間伐材など県産材の活用も増え、県民や企業の森づくり活動への参加者も着実に増加しているようですが、この総合計画の総仕上げとして、できるだけ早期に、本県への全国育樹祭開催誘致を申し入れてはどうかと思いますが、この点について、知事のお考えをお伺いします。
質問の第2点目は、平成21年度補正予算編成の基本的考え方についてであります。
国の経済危機対策に伴い、県は、過去最大規模の補正予算案を上程しております。私は、2月議会の一般質問で、予算案は県民に対する政治メッセージであり、県も頑張るから県民も頑張ってというメッセージを発信し、勇気づけなければならない時だと述べ、なぜ積極型の予算を組まないのか、全国的にも前年より増額予算を組む県が多い中、なぜ本県も1円でも前年より増額して積極性をアピールしないのかと質問いたしました。また、当時から今回の補正予算の話はあり、今日の情況は予測できたはずですから、水面下では準備をされたことと思います。
しかし、私は、この補正予算案に本県の独自色があまり感じられないのであります。補正額452億円余のうち、100億円が四国横断自動車道整備に伴う負担金であり、また、国からの交付金を積み立てる基金を活用した事業が171億円余など、国のレールに乗っただけのような印象を受けるのであります。
わたくしは常々思うのでありますが、国は地方の実情を知りません。かつて、文部科学省は、教員給与の一般財源化に反対したとき、地方に任せると地方教員給与が無駄な公共事業に使われてしまうなどと主張して反対したのを思い出します。このような地方を知らない国の考えをバイブルのごとくにしてはなりません。自治を声高に叫ぶなら、地方が自らの判断で行動しなければなりません。地方の実情に即した独自色のある施策を展開していかなければならないのであります。
独自色を出すという点では、せっかく過去最大規模の補正予算を組むのなら、経済対策とともに、目に見える形で住民の利便性を向上させる施策などについても知恵を絞ってはどうかと考えるのであります。例えば、国民健康保険の被保険者証です。世帯ごとの被保険証では、夫婦や親子で同じ日に別のお医者さんにかかるとき非常に不便であります。国民健康保険の被保険者証の発行は、保険者である市町の事業ですが、個人別カード方式が利便性の面から優れていることを踏まえ、未だに世帯ごとの被保険者証を発行している市町(県下17市町のうち10市町)に対して、個人カード化を誘導する助成策を講じるなど、住民の利便性を向上させる施策はいろいろと考えられるはずです。また、人にやさしい施策として、県独自の制度である重度心身障害者等医療費支給事業や母子家庭等医療費支給事業について、平成20年度から導入した一部患者負担を県費の助成に戻す事なども考えられます。こうした施策を今回のように大規模に財政出動する時に具体化していくことが、本県の独自色を出すことにつながるとともに、県民の満足度を高めることにもつながるのではないかと考えるのであります。
そこで、知事は、今回の補正予算案の編成に当たり、本県の独自色のある施策をどう盛り込んだと考えているのかについて、お伺いします。
質問の第3点目は、道路構造物の維持管理についてです。
先日、わが党の政策勉強会、五所野尾プロジェクトにおいて、「アセットマネジメント」について研究をしたところであります。それを踏まえて、知事に質問いたします。
道路、港湾、空港などの社会資本は、我々の日常生活や生産活動の基盤として、極めて大きな役割を果たしております。こうした社会資本は、高度経済成長期に集中的に整備され、今後数十年の間に、集中的に更新の時期を迎えることになります。一方、近年の厳しい財政状況から、公共事業予算は減少傾向にあり、本格的な人口減少時代を迎えて、投資余力の減少も見込まれます。こうした中、老朽化した社会資本が適切な維持管理を欠いた場合には、本来の機能を保てなくなるおそれや、その崩壊等による事故の発生などが懸念されるところであります。
例えば、身近なところで、道路の一部である道路橋は、劣化して重大な損傷が発生すると事故につながります。道路橋の高齢化は避けられないとしても、その状態を把握して的確に判断し、適切な対策を行って重大な損傷の発生による事故を未然に防止するとともに、長寿命化させる対策が急務であります。
道路橋を含む構造物の適切な維持管理を行うためには、定期点検とその情報を適切に診断することが極めて重要です。しかし、従来から行われてきた対症療法的な維持管理ではなく、計画的な予防保全による長寿命化とライフサイクルコストの低減を図るための診断技術は十分確立されておらず、専門的知見を有する技術者も全国的にみて皆無に等しいと聞いております。そういう意味では、県が音頭を取って研究会を立ち上げ、技術者の養成に資することも考えられます。
本県は、道路密度が全国4位、道路舗装率が全国1位であります。これからは、「道路を造る」から、適切な維持管理に軸足を移し、社会資本のメンテナンスの先進県を目指すべきではないでしょうか。そのためには、県職員の中で、こうした診断分野で専門的知見を有する技術者を養成する必要があると考えます。県管理の道路構造物など社会資本の適切な診断はもとより、こうした技術者を養成することが困難な県内市町の協力要請に応えることも、県として重要な役割だと考えます。
また、こうした取組みは行政だけではできません。技術開発も含め、民間の力が不可欠であります。県内建設業者の維持管理に係る技術力が向上することにより、本県の社会資本の適切な維持管理の実効性が上がるとともに、全国に先駆けて、これからの時代に求められる維持管理に係る技術力の蓄積と発信ができ、地域経済の活性化の種にもなる可能性を秘めていると考えるのであります。
そこで、県職員の中で、診断分野での専門的技術者を養成してはどうかということと、県内建設業者の維持管理に係る技術力が向上するよう、県としても取り組むべきと考えますが、この点についても知事のご所見をお伺いします。
質問の第4点目は、職員の期末手当及び勤勉手当の一部凍結についてであります。
昨年秋以降企業業績は異例の速さで悪化を続けてきました。
こうした景気悪化の影響を受け、民間企業の今夏の夏季一時金が大幅に下回るとみられたことから、人事院は、4月に民間企業の夏季一時金の妥結状況について特別調査を行い、その結果を踏まえ、5月1日に国家公務員の期末手当及び勤勉手当の改定について勧告を行いました。勧告の内容は、暫定的な措置として、国家公務員の6月期の期末手当及び勤勉手当の支給月数を0.2月分凍結するというものであります。
一方、県人事委員会でも、同様の特別調査を行い、その結果を踏まえ、5月18日に、暫定的な措置として、県職員の夏季における期末手当及び勤勉手当の支給月数を0.2月分凍結することが適当である旨の勧告を行いました。この勧告を受けて、知事は、5月県議会臨時会に条例議案を提案し、県人事委員会の勧告に沿った県職員の期末手当等の支給月数の一部凍結を行いました。
確かに、最近の経済情勢の中、民間企業は厳しい状況にあり、県職員の期末手当等の支給月数の一部凍結は、民間感覚からは妥当だと思います。しかし、他県では独自の給与カットを実施していることを理由に凍結を行わない県もある中、凍結する支給月数が0.2月分で、国家公務員と全く同じということには、議論の余地があったのではないかと思うのであります。本県では、職員に対して給与カットを行っております。これは、財政再建に向けた知事の真剣さの表れであると評価していますが、今回の期末手当等の支給月数の一部凍結を行う場合、給与カットをしていない国家公務員との比較において、本県職員は給与カットしているということを斟酌してもいいのではないかとの意見もあります。何でも国と同じにするのではなく、県独自のカットという事情等を踏まえ、県として独自色のある対応をとった方が職員と心が通ったと思うのであります。
普通の会社でも社員の賃金カットは経営者として大変つらい思いをすると思いますが
そこで、今回の支給月数の一部凍結に当たり、職員の士気低下を招くことがわかった上で、何ゆえ国家公務員と同じ内容で一部凍結することとしたのかについて、知事の苦しい胸のうちをお伺いします。
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